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「狼はどこに」

山口二矢おとや 日本社会党の浅沼稲次郎委員長を1960年10月に刺殺 本人は獄中で自死
中村泰 國松孝次警察庁長官を1995年3月に狙撃 本人は別の事件で逮捕され入獄中
難波大助 皇太子裕仁(のちの昭和天皇)を1923年12月に狙撃失敗 大逆罪で死刑判決 翌年11月に執行

何人かのテロリストがおり
いくつかのテロ事件があり
ほとんどの失敗とわずかな成功が
記録と記憶の中に残る

企業を狙った連続爆破テロ
東アジア反日武装戦線
「大地の牙」「狼」「さそり」などと自称し
さまざまな行動
天皇の御用列車爆破も企図した
その中で生き残り
超法規的措置で一時は海外に出たものの逮捕され日本に戻った女
その後服役し 今は娑婆にいる
彼女 彼らに連なる人びとを追ったドキュメンタリー映画を見た
「狼をさがして」
撮ったのは韓国人の女性監督
その上映後
本人 浴田由紀子がトークショーに登場した
生き残り 外に出た数少ない「狼」
彼女は あまり的を射ない言葉を繰り返し
そこに横たわる 長い ながい年月を感じさせた
さっき見た映画と 彼女の言葉を どう重ねればよいのか…

何十年の時間の中
とっくに狼たちは消えた―
50年 いや 難波大助から数えれば100年の間に存在した
それぞれのテロリストたち


その銃口を
刃の切っ先を
導火線に火をつけた爆弾を
どこに向けようというのか


テロリストたちは
己の死と 他人の死をまぜこぜにして
狼を鎮めているのか

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