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「遠くを知り近くを見る」

ポーランド語を話せないウクライナ人
ポーランドに逃げてきた
祖国にいつ戻れるのか 帰れるのか
命はある 確かにわが命はある
しかし 家財は故郷に残し
夫や親も 彼の地にとどまった
恐怖は とりあえずの恐怖は消えた
不安 つきまとう不安
ここに生活する限りつきまとう不安
ポーランドの人びとは温かい
彼らはウクライナ人を迎えた
だが この先はどうだ―
人びとのまなざしは変わっていくだろう
親は 大人はとにかく
分からない言葉に苦しみながら
働かねばならない
子供らはどうだ
ここにとどまるのが長くなれば
学校にも通うだろう
その空間で
子供らは 子供らで
差別 いじめもあるだろう
ウクライナへ帰れ! と

しかし 彼の地には すぐに戻れない
親も 大人も子供も
苦しみに耐え続けねばならない
《戦争が招いたことだ》

77年前 満州に取り残され
中国人に託したり売られたりした子ら
のちの残留孤児
13歳以上の女性は
《自分の意思で残った》
と決めつけられ 残留婦人と言われた
年端もいかぬ彼女らは 土地の男と強制的に所帯を持たせられた

50年前 日中国交回復
帰国できた人 親が見つかった人
それは全体の一部
そのまま
言葉の通じない国で
いつしか 中国人となって
苦労に苦労を重ねたてきた人びと

そして《帰国した》日本でも…

《戦争が彼ら彼女らに苦労を与えた》

戦争はただ今
この瞬間に世界各地で
同じことを経験する人びとを生み出す

過去の記録
今報じられていることだけでは
戦争の本質はわからない

この先も 人びとが巻き込まれる苦しみ
そこに思いをいたせ

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