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「モーリタニアの男 本当は?」

お前がやった やった やった やった やった

小突きまわされ 蹴られ 殴られ 転がされ
手枷足枷の身体拘束 水責め 強制性交まで…
キューバ・グアンタナモの米軍基地の刑務所
入れられたアフリカの小国モーリタニア出身の男を救おうとした
人権派の女性弁護士
演じるジョディ・フォスター
ああ ババァになっちまってぇ…
権力に挑む その姿勢は彼女にははまり役 お見事

真実の物語――
映画の冒頭 そう訴えるのだけれど
確かにアフリカの端っこから海を渡ってドイツに留学する優秀な青年
その彼がアルカイダとの関係を疑われて捕らえられ
悪名高いグアンタナモで 何年も囚人生活
そこで「あった」話は確かに真実であろう

しかし かの男が「やったかどうか」は証拠が挙がらなかった以上
その点の「真実」は不明
映画もそのことは触れず 見る者が想像するしかない

結局 米国当局が中途半端に民主的な調べを行い
それに耐えきった男が外に出られた
しかし 耐えきれなかった者も多数存在する それも真実

疑わしきは罰せずの原則で 彼はリリースされた 
モーリタニアンは再び青天の下にカムバック
彼が奪われた年月は確かに存在する

それでも 本当のホントは神のみぞ知る

困難に打ち勝ったモーリタニアン
そして彼を支えた米国人がいた
ハリウッド映画にもなった
彼 モハメドゥ・ウルド・スラヒは英雄なのか

それはやはり分からない
分からないことはわからないまま
権力の闇 不気味さを伝える点で意味ある映画だが
見ているものはすっきりしない

映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」

映画.comレビュー

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