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「イマココはドコ」

ぎっしりぎっしり 電車に人がすし詰めだ
それがかつての風景 それがかつての日常
老若男女 職場に学校に そこかしこに向かう人びとで ぎっしり ぎっしり
もののごと運ばれ はこばれ
心を空しうし
なむなむなむなむなむなむ なむ
なんみょーなんみょーなんみょー
とでも心の内で唱えてとなえて
やりすごさねば
やりきれぬやりきれぬ
なむなむなむなむなむなむ なむ
なんみょーなんみょーなんみょー
その声は聞こえぬ
だが
彼ら彼女らが発する
熱と息と臭いと
それらがぎっしりぎっしりぎちぎちで
北から南へ
東から西へ
西から東へ

中心部に 東京都心部に向かう電車が
人びとを乗せて走りにはしって
それがどうだ
今や空気のほうが多くなっちまった
JRが
私鉄が
地下鉄が
人より空気を運ぶようなら
電車が減るのも必定←イマココ

あなたの
ぼくの
イマココは
どこなのか
空気より人
ヒマより仕事
文なしより ゼニカネを――
実りある時はくるのだろうか


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