「絶対反対だよ」

逆上がりが　何度やってもできない　とか
太っている　とか
言葉がひっかかって　吃る　とか
風呂に入ってないから　臭う　とか
いつも小汚い服を着ている　とか
斜視で　二つの目が違う方を向いている　とか
とろい　とろい　１周遅れで走っている　とか

そうして　きょうも　あすも
ターゲットに　標的にされる
子どもらがいて――

体が大きくなり
心も少し強くなったり
標的から逃れる
術を
身に着けた（元子どもら）

それでも
あいつらは　いつも
ターゲットを探す
底意地の悪い　奴らである

常に　どの世界にも
あいつらが　いる

ぼくら
体が大きくなり
心は（狡猾に）
犬っころが　するりするりと
逃げ出すようになって
大人になったのだけれど
ぼくら
あんなこと　こんなこと　とか
うまく　匿せるようになっていても

人の基本は変わらなくて

標的にされるのは
たとえ　身も心も
大人に　それなりに立派になっていたとしても

逆上がりができないままに
あざ笑われた
あの日の――
それと
同じ（存在）

だが　時に
標的を指さして
笑い　転がして
何人もがつるんでいた　悪童どもに
そう

《天誅》が下るのである

ついこのまえ
それを　やってくれた男がいて
ぼくらは　みんな
その瞬間の　目撃者になったのだ

倒されたのは
巨大化した
そう
あいつら　悪童たちを代表した存在の一人だろ

だから
　ぼくは

倒れた男を
悼む気になど
一切持たない