それとなく、なんとなく、カタルシス
紫乃羽衣
アニメで『SPY×FAMILY』やら『葬送のフリーレン』が流行っている。
私も好きなのだが、何がいいってBGM的に流しておくことができるくらいに落ち着いている。
ちゃんと見れば、ストーリー的な細かく作られていたりする面白さもあるのだが、一番はその落ち着きと、どこまでも「人間」を追求しているように見えるところのように思う。
これらの作品は、爆発的な人気を誇っている『ONEPIECE』や『NARUTO』、『鬼滅の刃』や『進撃の巨人』とは別の方向で面白い。
これらの作品は、物語が大きいので一つの枠に収めることは難しいがこれらとは違う。
全てがそうというわけではないが、現実世界でのフラストレーションを発散させる異世界転生ものとはわけがちがう。あれは、むしろ「非日常性」を楽しむものである。発散を求める。
一方で2作品は、設定こそ現在の日本からは考え難い世界にあるが、読み手に何かしらの共感をもたらしてくる。現実的ではない設定で人間にリアルを感じる。そう、あれらの作品は「日常」ものに違いない。
わだかまりや不安、なんとなく抱く違和感を解消する。
枷が外れるように、縛りから解放されるように。
寝起きに”のび”をするような心地よさがある。
カタルシスがある。
今抱いているようなもやもやとした気持ちに寄り添ってくれる。
戦いたいんじゃない。
大成功を収めたいとか、勝ち上がりたいとかそういうことでもない。
なんとなく、息苦しい。
なんとなく、悲しい。
なんとなく、辛い。
気づいたら、考えたくなくなる。
暗い気持ちから離れて自由に息ができるようになりたい。
ただ、それだけ。
発散ではない解消。
私たちが今一番ほしいものなのかもしれない。
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