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ギャンブルではないけれど

ギャンブルではないけれど、昔から日本には双六があった。
正確には、奈良時代に伝来したものらしい。

以来、貴族文化の中で日本人に好まれてきたようである。

兼好が『徒然草』で双六の名人に話を聞いたらしい。

 双六の上手と言ひし人に、その手立てを問ひ侍りしかば、「勝たむと打つべからず、負けじと打つべきなり。いづれの手かとく負けぬべきと案じて、その手を使はずして、一目なりともおそく負くべき手につくべし」といふ。
 道を知れる教へ、身を治め、国を保たん道も、又しかなり。

(徒然草 第110段)

ということらしい。

簡単に内容を説明すると
「双六の上手な人に、どうやっているのかを聞くと『勝とうと打ってはならない、負けないようにと打つのが良い。どの手が負けてしまうだろうかと考えて、その手を使わずに、一目でも遅く負ける手にするのが良い』という。」

と言った内容である。
なるほど、これはと思える教えでしょう。投資などにも使えそうな考え方です。世界三大投資家のウォーレン・バフェットも同じことを言っていますね。

ただ、これだけで終わらないのが兼好。

 「囲碁・双六好みて明かし暮らす人は、四重・五逆にもまされる悪事とぞ思ふ」と、ある聖の申しし事、耳にとどまりて、いみじくおぼえ侍り。

(徒然草 第111段)

手のひら返し!!!

何事にも学ぶべきものはあるかもしれないけれども、学ぶべきことがあるからといって、それが良いものとは限らないようで。


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