見出し画像

「NPO法人リバティー・ウィメンズハウス・おりーぶ」 KON-KON! おじゃまします(8)

まちスポ大津スタッフが今聞きたい人にインタビューをする“とびだす!KON-KONおじゃまします”!2022年度から開始した活動の、取材先第7号を掲載します。
薬物依存症とは、薬物の使用を自分自身でコントロールできず、やめられなくなる状態のことをいいます。最近では、誰でも買える市販薬が原因で薬物依存症になるケースが増えており、特に10代の若者に急増しています。
今回のインタビューは、各種依存症などからの回復と自立を目指す施設を運営されているNPO法人リバティー・ウィメンズハウス・おりーぶ代表の山本良子さん、スタッフの獅野優紀枝さんにお話を伺いました。(以下、敬称略)
2023年4月19日にお話を伺いました。


活動のはじまり―回復施設運営

まちスポ:まず、おりーぶを設立された経緯を教えていただけますか。
山本:病院勤めをしている時から、依存症の女性の支援の必要性を感じていました。はじめは私的な相談室からスタートしましたが、日常の無いところから支援をするのは難しく、暮らしを共にして初めてできることがあると思いました。切り取った時間の関わりだと、すぐに日常に戻ってしまうのです。
まず、2012年にマキノで共同生活の場を開設しました。そこは、友人から実家が余っているので好きに使っていいよと言ってもらったものです。2013年に共同生活援助の指定を受け、現在は近江舞子を中心にグループホームが4か所(各ホームの定員は4~5名、マキノは2017年閉設)と、公表していないシェルターが2か所あります。また、日中活動の場として新旭に自立訓練(生活訓練)事業所と、堅田と雄琴にセミナーハウスがあります。利用者は17名在籍しています。

利用者とのつながり方

まちスポ:利用されている方は、どのようにおりーぶに繋がってこられるのでしょうか?
山本:行政や病院、保護観察所、地域連携機関などの紹介で来られることが多いです。コロナ禍でご家族から直接の問い合わせも増えました。
最近の特徴としては、発達障害+依存症の方も増えています。障害認定を受けている方いない方、様々ですが、これまで転職を繰り返したり周囲とのトラブルが絶えなかっり、生きづらさを抱えて来られた方も多くおられます。

利用者の回復への取り組み

山本:おりーぶでは、それぞれの方の特性を見て回復のゴールを設定します。ただ、いきなり先のことを考えるのも難しいので、今日から何をするか決めましょう、あなたにふさわしいプロセスでゴールを考えましょう、と伝えています。こちらが絵を描かないように、自分(支援者)の考えを押し付けないように気をつけています。例えばある一日の予定では、みんなで回復に向けてのプログラムを受ける時間、必要な方は通院や買い物、選挙にも行きます。
まちスポ:自立を目指す上で社会に参加することは、とても大切ですね。
山本:はい、私たちもそう思っています。そして、おりーぶで生活する中で利用者は、自分の特性を自分で話せるようになります。これは自助の良さです。「話すと楽になる」と他のメンバーを見て感じると、自分のことも話せるようになっていきます。「おりーぶに来て初めて仲間ができた」と言われる方もおられます。依存の内容や歩んできて人生は違いますが、共感できることがあるのだと思います、なので、一度出ても戻って来られる方もおられます。

みんなでアロママッサージの勉強会

地域とつながる取り組み

まちスポ:共感できる仲間がいる居場所がおりーぶにあるのですね。地域とのつながりはありますか?
獅野:コロナ前までは、呼んでいただいたらどこでも行っていました。地域のイベントでアロマハンドマッサージをしたり、直接お話できる時間があってよかったです。やはり対面でふれあうことが大切だなと思います。他にも、雪かきや草刈りなどのお手伝いをしたり、地域のお店にお弁当を頼む等の積み重ねでつながりができていくので、接点を絶やさないようにしています。
まちスポ:つながりをもって初めておりーぶの活動を知ってもらうこともあると思います。新しく拠点をつくられる時には、近隣の方に説明などはされていますか?
山本:今はしていませんが、以前「住民説明会をしてほしかった」という声をいただいたこともあります。その方は、もっとおりーぶの活動について知りたいと思ってくださっている方でした。今のご近所付き合いは無関心でいてもらえる良さもあるので、ある意味普段通りのお付き合いになっています。ただ、気にされる方もおられるので、メンバーには、例えば庭で仁王立ちで煙草を吸わないように、など、日常生活で気を付けることなどは伝えています。

メンバーでピザづくり

活動の効果

まちスポ:メンバーの方は、どれくらいの期間、おりーぶで生活されていますか。
山本:メンバーにとって安心して暮らせる場所になっていることもあり、だいたい2~3年利用している方が多いです。最長の方は5年おられます。出ていくことが怖い方は、おりーぶから仕事に通われている方もおられます。最近は、グループホームも別に置かなければならないかなと考えていますが、回復施設としては社会復帰が目指すところなので、難しいところです。
ここは失敗してもらう場所だと思っています。そして社会で生活する力を身に着けてひとり立ちしてほしいと思っています。自分で決めたことが一番重いので、自己決定できるようになってほしいと思います。

お花見ミーティングのようす

支援する側に大切なこと

まちスポ:支援をする中で、大切にされていることはどのようなことでしょうか。
山本:オープンダイアローグ(開かれた対話)を通して選択肢を提示し、道筋を示すようにしています。ケアだけに努めていると自分で生きていく力がつかないので。私たちも近づき過ぎたら距離を取り、相手との距離感は大切にしています。

スタッフ体制については、現在おりーぶのスタッフは11名で、おりーぶの利用者からスタッフになっているのは獅野さん1名だけです。やはりもともと利用者同士という関係性からスタッフになると、距離の取り方が難しかったり、関係性の変化でうまくいかないことがこれまでもありました。獅野さんは、仲間(利用者)を見ながら自分で自分を育てていく力があると思い、スタッフにならないかと声をかけました。
獅野:私は20歳の頃におりーぶでお世話になり、一度他のところで就職しましたが、体調を崩してしまいました。どうしようかと思っていたところ、山本さんにおりーぶでスタッフとして働かないか、と声をかけていただきました。今は他のスタッフと一緒に、自分の出来ることを伸ばしていきたいと思いながら働いています。

活動の今後について

まちスポ:おりーぶの今後について、後任の方へバトンの渡し方など考えておられますか?
山本:おりーぶの活動は、一度はじめたらやめるわけにはいかないと思っています。NPO法人を設立したときは、会計もわからず当事淡海ネットワークセンターによく相談に行き、スタッフの方にとてもお世話になりました。有難いことに、土地を使っていいよと言ってくれる友人や会計を担当してくれる友人がいて、本当に人には恵まれていました。
今は、様々なスキルや得意なことを持ったスタッフがおりーぶで働いているので、徐々に若いスタッフに渡していきたいと思っています。20代~30代のうちにそれぞれの強みを生かしてできることを増やし、30代前半で中心になっておりーぶの運営を担ってほしいと思っています。獅野さんをはじめ、現場の担い手や全体を見る視野のある人、後方で経理等の担当をする人とイメージはできています。

メンバーで立ち木観音へ(下山中の風景)

まちスポ:頼もしいスタッフの方がおられ、心強いですね。今日はおりーぶの活動について理解を深めることができました。また事業等で連携ができたら嬉しいです。ありがとうございました。

2023年4月19日にお話を伺いました。
※写真提供 NPO法人バティー・ウィメンズハウス・おりーぶ

👉KEYWORD!「依存症とは」

依存症とは、日常生活に支障をきたしているにもかかわらずアルコール、薬物、たばこなどの特定の物質やギャンブル、買い物など特定の行動、ドメスティック・バイオレンス(DV)、アダルト・チルドレン(AC)、共依存など特定の人への依存をやめることができなくなってしまう状態のこと。

👇団体のウェブサイトです

👇本note記事のPDFデータをアップしています

👇地域で活動する人のサポートをする私たちの活動を応援してください! 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?