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ごはん映画

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映画に出てくる食べ物が大好きです。そんな「ごはん映画」について書いた記事をまとめています。
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#映画館

映画に出てくる食事はおもしろい

映画に出てくる食べ物が好きで「ごはん映画」として集めています。 収集するのは、食をテーマにしている映画だけではなく、1カットだけ食事や飲み物が登場する作品も対象にしています。そのような収集範囲にしていると、映画を観るときは登場人物たちが何を作っているのか、何を食べて飲んでいるのか、とても気になってしまいます。 逆に全く食べ物が登場しない映画もあります。それはそれでおもしろくて、作り手にとってその作品での、 ・「食」の重要度 ・「食」が担う役割 ・「食」で表現したいこと(逆

香港の美しいノスタルジーを味わう|『七人樂隊』

今月はとっても楽しみにしていた『七人樂隊』を観に行きました。香港映画界を牽引してきた7人の監督がフィルムで撮ったオムニバス作品。なんと豪華なんだろう。 韓国や台湾、タイや中国などアジア映画が好きです。今年はウォン・カーウァイ4K特集上映が盛り上がっていますが、タイや台湾のホラー映画が話題になったり、昨年はトニー・レオンがマーベル作品『シャン・チー/テン・リングスの伝説』に出演したりと、ずっとわくわくが続いています。 そんな中、本作は香港映画というジャンルを俯瞰して観るような

温かい死生観に救われる|『川っぺりムコリッタ』

『かもめ食堂』『めがね』の荻上直子監督の最新作『川っぺりムコリッタ』を観に行きました。個人的に少し久しぶりの鑑賞となった荻上監督作品だったのと、予告編から食事シーンがあると分かっていたので、とても楽しみにしていました!(このnoteでは映画に登場するごはんを集めています。マガジンはこちら) 温かい死生観に救われる 荻上監督の作品は一見ほんわかしたように見えて、実は死生観を素直に突きつける監督だと思っています。過去作品でもふんわりとそれを感じ取っていましたが(『トイレット』

2022年3月に観た映画と、登場するごはんについて(劇場編)

noteでは映画に登場するごはんついての記事を書いています。ごはん映画記事をまとめているマガジンはこちら。 そして今年は毎月、劇場とおうちで観た映画の振り返りをしています。メモはこちらのマガジンへ。 今日は3月に劇場で観た映画を振り返ります。 ▼3月に劇場で観た新作映画 『THE BATMAN-ザ・バットマン-』 今回のバッドマン、とっても面白かったです!ストーリーの暗さや上映時間の長さなど話題になりましたが、アメコミ作品と一線を画す、探偵ノワールとして謎解きをしてい

2022年2月に観た映画と、登場するごはんについて(劇場編)

noteでは映画に登場するごはんついての記事を書いています。ごはん映画記事をまとめているマガジンはこちら。 今日は2月に劇場で観た映画を振り返ります。 ちなみに1月に劇場で観た映画はこちら、おうちで観た映画はこちら。 ▼2月に劇場で観た新作映画 『大怪獣のあとしまつ』 残念ながら『大怪獣のあとしまつ』にはごはんシーンはなかった(はず…)ですが、三木聡監督作品には印象的なごはんが多数登場します。それをまとめた記事を書きました。 『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、

『ガンパウダー・ミルクシェイク』を観て、ミルクシェイクを飲みに行こう!

3/18公開『ガンパウダー・ミルクシェイク』を早速、観に行きました!食べ物がタイトルにも冠される作品なのでメモしようと思います。 本国版の予告をネットで何度か観ており、とても気になっていた作品でした。まずタイトルがいい!ネオンカラーのデザインも可愛い! 分かりやすいストーリー展開でとにかくアクションが楽しい作品でした。主人公の恋愛要素がないのも良かったです。 本作を鑑賞した後、「これはめちゃくちゃ映画大好きな人が作ったアクション映画だなぁ〜」という感想を持ちましたが、ナ

2021年映画ベストと、登場するごはんシーンについてのまとめ

みなさんいかがお過ごしでしょうか。 あっという間に2021年がおわり、マトリックス3部作を復習していたら、お正月も過ぎ去ってしまいました。びっくりです。 年末恒例の企画として、いろんな方の2021年映画ベストを見るのはやっぱり楽しい。今回は、2021年の映画記録をメモしようと思います。 わたしの2021年映画記録は、 劇場鑑賞(新作):36本(うち2本はオンライン試写) 自宅鑑賞(新旧):81本 でした。 Twitterなどで映画ベストを見ていると、見逃してしまった作品

『きのう何食べた?』の穏やかに暮らす力が本当に好き

大好きな『きのう何食べた?』が映画化されるというニュースを見たときは本当に嬉しくて、何度も見たドラマをまた最初から見直す日々を過ごしていました。 いつもこのnoteでは映画に出てくるごはんについてメモしているのですが、『きのう何食べた?』に関しては、原作のマンガはもちろん、公式でたくさん関連本が出ているので、今回は詳しく触れなくてもいいかなと思って、つらつら作品の好きなところを書いてみます。 シロさんとケンジの生活力というか、「穏やかに暮らす力」がわたしは本当に好きなんで

三姉妹をつなぐ家族の火鍋|『花椒の味』

11/5公開の香港映画『花椒(ホアジャオ)の味』を観に行きました。劇場で予告編を観てから、公開をずっと楽しみにしていました。個人的に、今年のベストに入れたいなぁと思うほど、心地のよい作品でした! 主人公ユーシューは、香港で火鍋店を営む父の急死をきっかけに、台北と重慶に2人の異母姉妹がいることを知る。お互いの存在を知らず育った三姉妹は見えない絆に惹かれあいながらも、それぞれ微妙な家族関係の中で生きる自身の葛藤と向き合っていく。一方、火鍋店の経営を契約満期まで全うすることを決め

喪失と再生の中で食べること|『ムーンライト・シャドウ』のごはん

吉本ばななさん『キッチン』に収録されている短編小説の映画化、『ムーンライト・シャドウ』に食事シーンが多く描かれていたのでメモします。 『ムーンライト・シャドウ』ストーリーは、 さつきと等は導かれるように出会い、恋に落ちる。等の3歳年下の柊と、柊の恋人ゆみこをあわせた4人は意気投合し、多くの時間を共に過ごす。時には、ゆみこが気になっているという「満月の夜の終わりに死者ともう一度会えるかもしれない」という不思議な現象「月影現象」についても語り合うなど、4人は穏やかで幸せな日々を

緊張がほぐれる温かいごはん|『ドライブ・マイ・カー』

『ドライブ・マイ・カー』素晴らしい作品でした。3時間の長尺ですが、まったく長さを感じさせない、俳優さんたちの演技もさることながら、やはり脚本のうまさを実感した名作でした。 第74回カンヌ国際映画祭で日本映画としては初となる脚本賞を受賞。国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の独立賞も受賞し、4冠獲得の偉業を成し遂げた作品。 濱口竜介監督作品は『寝ても覚めても』を劇場で観ていました。上映時間が5時間 17分で話題となった『ハッピーアワー』はまだ未見なので