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デタラメ社説 10月14日

▽貴金属の金の価格が高騰し続けている。テレビやラジオのコマーシャルで自宅に眠っている金はないかと言うものだから、我が家のタンスや納戸を引っ掻き回してみたものの出てくるのは手紙や写真といった紙物ばかり。そもそも買った記憶がないのだから金が出てくるはずもなく、休日の半日をかけてかなり早めの大掃除となった。

▽最近注目される金の鉱脈は遠い外国の地ではなく、身近な都市部にあるそうだ。家電製品やスマートフォンなどにはレアメタルと言われる希少な金属が微量ながら使われていて金もその一つ。それらをかき集めれば塵も積もれば何とやらで、日本にはかなりの量の金が眠っていることになる。粗大ごみの山が宝の山といったところか。
人も重機も入ることができない深海から金を採掘する技術もある。海底火山から水に溶け出す金の成分を特殊なシートに吸着させるというものでこちらは宝の海である。

▽どちらも現代の錬金術のようだが実用までの課題は多い。とにかく手間と時間がかかる。
家電製品を分解するには人の手が必要となるし、海底へシートを設置するには当然そこへ行かなければならず、シートで吸着できる金の量も半年で数グラム程度。目の前に鉱脈はあれど我々庶民は眺めることしかできないといったところか。

▽市内の葬儀社が新しいサービスを始めた。葬儀費用の生前積立プランの追加オプションとして選べるそうだが、これも金の鉱脈についての話だ。
追加オプションを申し込んでおくことで死後遺体から歯の詰め物、金歯を回収して換金してくれるサービスだ。保健所への報告と提出書類の作成、歯科医師の手配や買取店への持ち込みまでを葬儀社が代行する。手数料はかかるが換金された金の価格分が葬儀費用から差し引かれることになる。
生前申込のみの受付で歯の治療記録提出のほか本人と家族の同意が必要になる。

▽本紙記者がこの葬儀社の取材へ行った際、このオプションについて説明を受けに来ていた80代の男性はこう語っていた。
「死んだ後なら痛くも痒くもないし、もう飯を食う必要なんてないんだからできるだけ家族の負担を少なくしたい。」
こちらの鉱脈には口を開けばむき出しの金があり採掘コストもさほどかからない。
後期高齢者の数を思えばこの国はとんでもない量の金鉱脈を探し当てたことになるのだろうか。

※とある地方都市の架空の新聞社の社説という設定で書いたものです。
 タイトルの通り内容はデタラメ(2024年5月14日 時点)で
 日付も適当に付けています。


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