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こんにちは. 「街のはなし」をかたります.

こんにちは。「街のはなし」です。
〜温故知新。街の記憶を語り継ぐ〜 
「街のはなし」は2014年から、美しが丘中学校1、2年生の夏休みの宿題「わがまち新聞」「未来のわがまち新聞」とからめて、アーティスト谷山恭子が立ち上げた非営利の冊子形式のアートプロジェクトです。

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「街のはなし」noteの筆者は谷山恭子です。手に取る冊子だけでなく、オンラインでも読んでいただきたいと思ってnoteをはじめることにしました。(冊子入手ご希望でしたらご連絡ください。次号の製作費サポートになります。)

プロジェクトは、「街のなかの好きな場所はどこですか?その理由をきかせてください」という質問からはじまります。

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舞台は横浜市青葉区の美しが丘・たまプラーザですが、緯度経度の座標を語り手のお名前の代わりとして、特定の場所にまつわる思い出を、語り口調をいかしたエッセイとその場所の写真とをあわせて掲載していきます。
名前や地名を使わないのは、ヒエラルキーをなくして地球上にあるすべての場所が等しく尊く素晴らしい、ということ表現したいからです。

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プロジェクトのスタートは2011年の東日本大震災の時期に遡ります。震災の直後、わたしは被災地の石巻の清掃ボランティアに参加しました。今まで体験したことのない、生活を根こそぎ津波に奪い取られてしまった、住所の機能しない風景のなか、「今、わたしはどこに居るんだろう?」という問いが沸き上がってきました、ご自宅もご家族もすべてを失くされた方々と接したことで、自分の存在とは、過去の人間関係や記憶、記録にもとづいて在るのだ、ということを痛感すると同時に、自分の存在の不確かさを感じました。

わたしはその経験を通して、当たり前の日常の尊さ、自分の足下の大地の感触と、今ここにいる、という感覚をあらめて実感する方法はないかと模索しはじめ、「わたしたちの日常に感謝し、いつもと変わりない日々を祝福するプロジェクト・Lat/Long project」をはじめました。Lat/Long projectでは、各地で日常風景のなかに祝祭のイメージのオブジェと、その場所の緯度経度の座標の数字をかざり、風景自体を作品にするプロジェクトです。
地名ではなく座標であらわすと、地上のどの地点もある数字の羅列となります。数字であらわされることによる公平性から、地球上のどの土地も生きとし生けるものにとって等しく大切な場所だということを、あらためて意識するきっかけが生まれるのではないかと考えています。
「街のはなし」は、その考えを下敷きに、文章と写真で表現しています。

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1970年代、新興住宅地として造成されたこの街は、独自のアイデンティティーをもち、今や3世代が住む、若い世代にとっての「故郷」となってきています。
「街のはなし」は、2017年より運営主体を地元住民にうつし、かつてのニュータウンが故郷へとかわりゆく”プロセス”を住民の声でつづる「町史」のプロジェクトへと発展しています。今ある環境はあたりまえにあるものではなく、住み手によって積み重ねられてきたことを知ることで、自分たちの街の未来を考えるきっかけをつくり、コミュニティーの未来像を多世代みんなでえがきリードしていく場づくりをめざしています。

2020年5月、現在わたしたちはコロナウィルスのパンデミックという、未来の生活スタイルが変わってしまうかもしれないようなカタストロフィーを世界中の人たちと共に経験しています。
人間と、これまで作り上げられてきたの社会構造の儚さを思い知らされるとともに、これまでのわたしたちがどれだけ地球環境を破壊してきたかも、浮き彫りになりました。
「街のはなし」で語られていることが、もしかしたらほんの少し先の未来からは、前時代のことのように感じられるようになるのかもしれません。
ご自分の住む街、故郷、これまで住まわれてきた街の思い出に重ね合わせながら読んでいただけたら幸いです。
2014年から10年継続予定、現在、1~6号までが発刊されています。

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