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フィギュアリペイントを初めてやってみたら面白かった話。

 緊急事態宣言も蔓延防止重点なんちゃらも解除されましたが、ワタクシ、ステイホーム生活を改める気は一切ございません!外に出るのは相変わらず減量と糖尿病治療のためにロードバイクに乗っている時と近所の買い物と通院くらいなものです。テレワーク万歳!

 そのうち、休日の外出も徐々に増えることでしょうが、いつも天気や自分のコンディションが整っているわけではないので、この先も引き続きステイホームでできる趣味などを持っていた方が心身ともに健康ではないかなと思うわけです。

 長引くステイホーム生活の中で、自宅でできるDIY的な趣味のものの需要は大変伸びているようで、プラモデルやフィギュアなども売り上げが伸び、とくに自身で組み立てるキットタイプのものは、現在の主な生産国である東南アジア(フィリピンやベトナムが多いようです)が、コロナで引き続きロックダウンが続いているなどして生産ラインがフル稼働していないことから、消費供給に遅れが出てきているところもあるようです。

 プラモデルやフィギュアなどを作っていると、組み立てや加工などがメインの作業になってくるのはまあわかりやすいかと思いますが、作業時間・全体の仕上がり度合いへの影響度が最も大きいのが「塗装」の工程ですね。それに伴って、amazonなどでもエアブラシが大変売れているようで、私も2000円台の安いやつを買いました。また、最近ではUSB充電でスプレー缶のように使えるものまであったりします。

 新しい道具を手に入れると、それを使いたくなるのが人の性というものですが、前述の通り新商品の慢性的な品薄状態などでやきもきする時間が続きがちなのもまた事実。そんなときに、道具を使う練習におススメなのが「フィギュアのリペイント」です。ゲームセンターのプライズ景品などであれば、ブックオフやリサイクルショップで500~1000円程度でいくらでも手に入るので(どのみち手を加えるので、コンディションの良し悪しは考えなくてOK)とっつきやすくもあります。

早速やってみよう

  いちおうあらかじめお断りしておきますが、タイトルの通り今回初めてやってみたので、説明etc.いろいろと足りないところがあると思いますが、ご容赦下さい。私自身、ググったりYoutubedeハウツー動画見たりしながら手探りでやってみた、という感じなので、その記録として見ていただければと思います。

 というわけで、さっそく近所のブックオフで仕入れてきました。

 「ラブライブ!」の矢澤にこ水着フィギュアです。幼児体形にやたら攻めたデザインの水着で、リリースされたころにはちょっと話題になりましたが、現在では中古市場にも多く出回っており、今回購入したこちらは税込み750円ほどでした。思いっきり値札の部分がピンボケの画像ですが…。

 実際に開封してみると、

 最近のプライズ景品は、本当に造形がしっかりしていますね。このままただ飾っておいても十分すぎるクオリティですが、あえて重箱の隅をつつくとすれば、やはり塗装が単調であるというところでしょうか。景品モノで、生産コストにも限りがありますから、凝った塗装をしろというのも無理な話で、それでも少しでもクオリティアップできないか…ということをいろいろ考えながら塗ってみるのが、上達の近道といえるでしょう。

まずは分解だ!

 リペイントを始めるにあたってですが、各パーツを塗り分けていくときに行うマスキング処理が、箱から出したままの状態では細部まで施すのが難しく、しっかりとリペイントができないので、バラしていきます。いきなり物騒になってきましたね。

 フィギュアの分解の仕方ですが、各パーツをとめている接着剤の接合を弱めてパーツを引っこ抜いていく形で行います。接着剤を軟化させるために、

 熱湯にドボンでございます。

 可能であれば、鍋(もちろん、食品を扱うものとは別に用意する必要があります!)に入れて煮込んでしまうのがベストですが、台所でフィギュアを煮込む図はご家族に顰蹙を買うこと間違いなしなので、とりあえずはボウルに熱湯を張る→柔らかくなったところからバラす→お湯が覚めたら再加熱して再びドボン、を繰り返して徐々に分解していきましょう。

 しかしすごい絵面だ…。でも、次の画像はもっとグロいし…。

サーフェイサーを吹いて下地処理

 フィギュアの分解が済んだら、次はいよいよ塗装の工程に進むわけですが、きれいに塗装を仕上げるには、「しっかりと塗料が乗る」「乗った塗料の発色がきれいになるようにする」ための下準備が必要で、そのために【サーフェイサー】とよばれる、下地処理剤をパーツ全体に吹き付けていきます。サーフェイサーはスプレー缶入りで、だいたい1本800~1000円前後で入手可能です。

 私の場合、塗装後に血色がよく見える効果を狙って、フィギュアの塗装の際にはピンク色のサーフェイサーを使うことが多いです。

リアルな肌を塗る下準備

 うっかりサーフェイサーを吹き終わった後の写真を忘れ、次の工程まで進んで慌てて写真を撮りましたが、フィギュアの肌の部分を塗るのに、いわゆる肌色をただベタ塗するだけでは、結局リペイント前と変わらないので、よりリアルな、「血の通った肌」に見えるようにするための下塗りを進めていきます。

 具体的には、われわれ人間がそうであるように、皮膚の下に張り巡らせた血管を通して全身に血液の循環がなされている様子を再現するために≒ナマっぽく見せるために、あえて血色でムラのある状態を作っていきます。

 今回の場合は、GSIクレオスから発売されている水性アクリル塗料「水性ホビーカラー」の【H29 サーモンピンク】を、塗料1:アクリル溶剤0.4~0.5くらいの比率で薄めて、エアブラシで吹ける状態にしたものを、点描のようにマダラに吹き付けています。「水性ホビーカラー」は、いわゆるプラモデル用塗料のイメージとして強い「強烈な溶剤臭」がほとんどしないため、同居人の顰蹙を買いづらい塗料であるといえます。それでも、マニキュアの除光液くらいのにおいはするので、部屋の換気は十分に行い、また、作業中の室内は絶対に火気厳禁です。肌の下に透ける血管は「ガンダムタッチマーカー」の【リアルタッチグレー2】という、筆ペンタイプのアルコール塗料で書き込んでみました。「水性ホビーカラー」も「ガンダムマーカー」も、1個およそ200~250円ほどで入手可能です。

いよいよ肌を塗る!が、「肌色」がない。

 次に、肌の色を塗っていくわけですが、今回使っている「水性ホビーカラー」には、実は「肌色」の設定がございません!同じくGSIクレオスから出ている「Mr.カラー」(ラッカー系溶剤の塗料です。臭いがきつく、水性ホビーカラーに比べて毒性も強いです)には【キャラクターフレッシュ】という色が存在するのですが、水性ホビーカラーにはないのです…。

 なので、ないものは絵の具のように色を混ぜて(調色)作ればいいじゃない、というか作るしかないのですが、私が水性ホビーカラーで肌色を作る際に使っているのが、こちらの4色。

型番が若い方から順番に【H11 つや消しホワイト】【H24 オレンジイエロー】【H44 薄茶色】【H92 クリヤーオレンジ】です。この4色を、まずは【つや消しホワイト4:オレンジイエロー1】くらいの割合で混ぜて、そこにクリヤーオレンジと薄茶色を少量ずつ足しながら、「欲しい肌色」になるまで調色していきます。

 調色ができたら、アクリルシンナーでエアブラシで吹ける濃度に薄めて(これも塗料1に対してシンナー0.4~0.5くらいでやってます)、各パーツに吹き付けていきます。この際気をつけるべきは、一気に厚塗りをしようとしないこと。やろうとしても、吹き付けた塗料が垂れて塗装そのものを失敗する結果にしかならないので、一通り薄く吹きつけては10分程度乾燥させ(乾燥待ちの間に他のパーツを塗れるようなサイクルを組んでやりましょう)徐々に完成に近づけていきます。一通り吹き終わると、写真のような感じになります。

 言い忘れていましたが、顔パーツの目の部分は、あとで描くのがものすごく難しいので、もともとの状態を再利用できるようあらかじめマスキングしてあります。ここまででいったん肌パーツの塗装第一段階終了ですが、写真でもわかる通りちょっとのっぺりした感じなので、メリハリをつけ、かつ、さらに血色よく見えるよう、陰影となる部分を重ね塗りしていきます。

肌の陰影用の色を作る

 肌の陰影部分の色ですが、残っている肌色に、さらに血色となる色を追加して作っていくのですが、肌の下塗りで吹いた【サーモンピンク】を混ぜると、色味自体は問題ないのですがやや透明度が下がってしまうので、【クリヤーオレンジ】と【H90 クリヤーレッド】を1:1で混ぜたものを少量ずつ加えて作っていきます。

造形の凹凸を意識して陰影色を吹く

 実際に陰影部分の色を吹き付けたのが、こちらです。

フィギュアを分解して触っているうちにわかることですが、我々の体と同様に、フィギュアにも凹凸部分が多くあります。影は当然凹の部分に落ちるわけですから、くぼんでいる部分や関節のうち我が部分を意識しつつ陰影色を吹き付け、その部分だけ不自然にならないようグラデーションになるように色合いをコントロールしながら吹いていきます。この際も、一気に作業完了させようとせず、一度吹いたら見え方を確認して…という工程を何度も繰り返します。

水着パーツのリペイント。

 肌が塗り終わったら、次は水着部分を塗っていきましょう。塗装に当たっては、既に塗り終えた肌の部分に色が付着しないようマスキングテープで処理を行っていくのですが、

 マスキングの境目がしっかりと閉じていないと、隙間から塗料がしみて大惨事になるので、フィギュアなど特に曲面の多いものはマスキングゾルを併用するようにしましょう。上記写真のマスキングテープの下の緑色の部分が、マスキングゾルを合わせて塗った個所です。顔パーツの目の部分のマスキングも、マスキングゾルを使っています。

ファレホはいいぞ!


 模型用塗料も、他の工業製品同様国産ブランドのものから輸入品までさまざまな種類があり、今回メインで使っている「水性ホビーカラー」や「ガンダムマーカー」はそれぞれ日本国内のメーカーのものですが、今回水着部分の塗装に使ったのが、スペイン生まれの水性アクリル塗料「ファレホ」です。あえて使ったというよりは、一度試しに使ってみたいと思っていたのを今回実行に移してみた感じですね。

 ファレホは販売されている段階で筆塗り・エアブラシにに適した濃度に希釈されていて、かつ、水性ホビーカラーと同等以上に臭いが少なく、発色もいい実に素晴らしい塗料なのですが、1本当たり350円程度と国産塗料に比べるとだいぶ割高で、また、扱っている模型店も多くないので入手性の部分で難点があります(私は、秋葉原のボークスで購入しています)。しかし、それらの難点などあっという間に補って余りあるほどの使いやすさと仕上がりのクオリティなので、ぜひ一度使ってみてほしい塗料です。実際、エアブラシに塗料をそのまま注入して吹いただけで、ここまできれいに塗れます。

 マスキングを剥がして、各肌パーツと併せて組み直してみました。水着の胸元の金具部分は、手元にあったガンダムマーカーで塗っています。ガンダムマーカーはこういった小物類をチョイチョイと塗るのに大変便利なので、かく色そろえておいて損はないと思います(用途はだいぶ限られますが)。

「髪色のチョイス」は奥が深い

 次に頭部パーツのリペイントと組み立てに入りますが、顔パーツは既に塗ってあるので、ここでは髪の毛のパーツを塗っていきます。ヘアアクセサリーの部分は塗装前にあらかじめマスキングしておきましょう。練習の際は、ヘアアクセサリーが少なめのフィギュアを選ぶのがいいと思います。

 今回は水性ホビーカラーの【H69 グレーバイオレット】で全体を塗った後、髪の毛の流れに沿うように細吹きで【H55 ミッドナイトブルー】を吹いてみました。水性ホビーカラーに限らず、模型用塗料は特に流通量の多いミリタリーモデルの塗装のために、黒~グレー系・ブラウン系の色の設定は実に細かく多岐にわたっています。なので、髪パーツの色のチョイスはリペイントの中でも特に楽しい部分であり、それぞれの個性やこだわりが出る部分といえるのではないでしょうか。

顔を再建。細かい部分はスミ入れペンで修正

 顔パーツに髪の毛パーツを組み付ける前に、マスキングしておいた目の周りのマスキングを剥がしていきます。

まつ毛や眉毛の部分はどうしても一部欠けてしまったりするので、「ガンダムマーカー」の「スミ入れペン」で描き直しています。また、マスキングがはみ出して目の周りにリペイント前の肌の色が残ってしまっている部分は、先ほど肌パーツに陰影をつける際に作った塗料を使って、面相筆でタッチアップしていきます。あわせて、唇など細かい部分もメイクアップするよう「ガンダムマーカー」を使って仕上げていきます。今回唇部分に使ったのは「リアルタッチマーカー」の【リアルタッチピンク1】という色です。

いよいよ完成!

 すべてのパーツのリペイントが終わったら、元の形に組付け直していよいよ完成です。

 今回は分解から完成までおよそ3日間ほどで完了しましたが、あせらずじっくりやっても1週間ほどで出来上がると思います。また、今回私もフィギュアのリペイントは初めてやってみたのですが、まあまあ悪くない出来栄えになったのではないかと思います。というくらい、簡単にできるので、ぜひチャレンジしてみてください。道具の初期投資にややお金がかかるものの、何体か作りつつコツもつかんでいくうちにかなりコスパのいい趣味になると思います。

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