「地域連携は“関係人口創出”に向けた下準備」福岡県八女市と鳥取県智頭町に聞くコラボイベントの意義
2022年10月に、まちのコイン初となる導入地域同士のコラボスタンプラリーが実施されました。参加地域は、お茶を特産とする福岡県八女市と、森林に囲まれた鳥取県智頭町です。
イベントでは、まちのコインアプリの"デジタルスタンプラリー機能"を活用。オンラインで参加できるイベントとして、関係人口創出や地域内回遊促進にもつながったほか、地元メディアにも掲載されるなど盛り上がりを見せました。
今回は運営団体として企画・運営に携わった3名の方にインタビューを実施。まちのコインの導入地域同士でコラボイベントを実施した背景や、関係人口創出における地域連携の意義を聞きました。
プロフィール
▼まちのコイン八女 運営団体
▼まちのコイン智頭 運営団体
オンラインだからこそ距離を乗り越えられたコラボイベント
――まずはコラボイベント実施にいたった背景についてお伺いします。発案者はどなただったのでしょうか?
岡本:僕から提案しました。智頭町が本格導入をスタートした21年10月からちょうど1年が経った22年10月に何かイベントを実施できればと考えていたところ、八女市のことが頭に浮かんだんです。
智頭町が本格導入した頃に八女市で1周年記念のイベントを実施していた印象が残っていたので、コラボすれば何か恩恵にあずかれるのではないかと(笑)。
朽綱:ご相談いただいたタイミングが、ちょうど八女市でも2周年イベントをどうしようかと話していたときだったので二つ返事でOKしました。
岡本:その後ミーティングを重ねていくなかで、お互いのまちの共通点を探った結果、豊かな自然がそれぞれのまちの特徴であることに着目して、イベントのテーマを「グリーン」にしました。
――今回はグリーンにまつわるクイズをアプリ上で解くことでデジタルスタンプラリーに参加できるイベントになっていました。どんな理由からこのイベント内容に至ったのでしょうか。
牛島:智頭町と八女市は遠いので、オフラインだと参加のハードルが上がってしまいます。そのため、距離の問題を解決できるオンラインイベントを実施することは最初の時点で決まっていました。
朽綱:クイズを取り入れたのは、まちへの興味関心を高めるためです。
日々何もしなくても大量な情報が流れてくる中で、自分で自治体や土地柄を調べるというアクションを促すことで、その地域のことを知るきっかけになるのではないかと考えました。
離れたまちのことを知るために実施した「クイズ企画」が、自分のまちを見直すきっかけにもつながった
――「智頭町の面積の9割以上が山林か」「全国茶品評会で22年連続産地賞を受賞する八女茶は"煎茶"か」など、さまざまなクイズを出題されていましたね。作る上で意識したことは何ですか?
岡本:クイズは知らないまちを知るためのきっかけづくりなので、参加率が下がらないように簡単なクイズにすることですね。
ただ、同僚の職員にクイズを出題してみたら全然解けなくて(笑)。その様子を見て、意外と住んでいるまちについて知らないことも多いからこそ、自分のまちを見直すきっかけにもなるかもしれないと思いました。
――今回のイベントを経て、参加してくださった方からどんな反応がありましたか?
朽綱:昨日ちょうど八女市でイベントがあったのですが、参加者の方から「クイズラリーしましたよ」と声をかけていただきました。智頭町の問題が難しかったそうです(笑)。
岡本:本当ですか? やっぱり難しくしすぎましたかね…… (笑)。
智頭町でも参加者の方からお声がけいただきました。実際に智頭町の通貨「てご」の利用数にも効果があらわれていて、イベント期間は地域外からの利用者が増えました。
牛島:まちのコインアプリにある「みんなの声」にも参加者からコメントが書き込まれていましたよね。「智頭町に行ってみたい」ってコメントも見かけたので、少しでも興味を持ってもらうきっかけづくりにつながっていたら嬉しいです。
岡本:僕は“ロマニー”からスタンプラリー達成後の承認申請がきたのも嬉しかったです。
朽綱:“ロマニー”は、最近ダイエット企画に挑戦していたロマンの妖精ですね……。誰だろうな……。
1地域だけよりも、いろんな地域とコラボしたほうがまちはおもしろくなる
――他の地域とコラボしてみて、いかがでしたか?
岡本:まちのコインはアイディア次第で様々なことができるコミュニティ通貨だからこそ、1つの地域だけで終わるのはもったいないなと実感しました。とくに智頭町は小さいまちですが、他の地域と連携しながら様々な企画に挑戦すればもっとおもしろくできると考えています。
最近驚いたのが「秋葉原のまちのコイン『アキコ』ユーザーが智頭町に来たら、1000 てごをプレゼント」という体験を使ってもらえたことです。もともとアキコを使っていた方が、最近智頭町に移住したそうで……。
この体験は、私が秋葉原を訪れた際に運営団体のGENDA GiGO Entertainment さんと連携して作成したもの。自分で作っておきながら実際に使われてびっくりしました(笑)。
さらに最近は、『てご』のサテライトスポットとして、町外にあるゲームセンターもスポットとして登録することができました。これもアキコを運営するGiGOさんのおかげです。
もともと智頭町には若年層向けの加盟店スポットが少ないという課題があったので、今回のサテライトスポットはとても有り難く感じています。
これからも様々な地域とのコラボを通して、相互の送客にもつなげていきたいですね。
ーー八女市さんでも、さまざまな地域連携イベントをされていますよね。
朽綱:最近では、八女市の加盟スポットである福岡県八女市のゲストハウス『天空の茶屋敷』のオーナーさんが「お茶を売りながら歩いて日本縦断」にチャレンジしているのですが、最近はその道中にあった導入地域のひとつである燕三条でもコラボイベントを実施しました。
いろんな媒体を通じて不特定多数にアピールすることもひとつの手段ですが、まちのコイン導入地域とのコラボするほうがまちの名前をしっかりと覚えてもらいやすいかもしれません。
コラボイベントが関係人口になる前の下準備のような、きっかけづくりにつながればいいなと考えています。
――最後に、これからまちのコインをどのように活用していきたいか教えてください。
朽綱:今後は体験自体をさらにアップデートするために、スポットさんと密な連携をとって魅力的な体験を増やしていきたいと考えています。
人の流れと経済の流れを作り出すことで生活の中でもっと活用してもらって、まちの人の日常の中に入っていきたいです。
岡本:もともと智頭町は多世代が交わるまちづくりを目指すためにまちのコインを導入しています。
まだまだ道半ばですが、まちのコインが横のつながりだけではなく縦のつながりづくりにも役立てばいいなと考えています。
今回のスタンプラリーで作成した福岡県八女市と鳥取県智頭町の◯×クイズを大公開!
【鳥取県智頭町クイズ】
(1) 智頭町は植樹の歴史がなく、人工林より天然林が多い。
(2) 智頭町では、杉の霊を祀った日本で唯一の杉神社がある。
(3) 智頭町には、森林セラピーロードが3つあり、それぞれ「芦津、天木、横瀬」である。
(4) 智頭町の面積の9割以上は山林である。
(5) 智頭町ではコミュニティ通貨「まちのコイン てご」のほかに森林保全活動等を目的とした地域通貨を導入している。
【福岡県八女市クイズ】
(1) 八女市星野村の「広内・上原地区の棚田」は、日本の棚田百選に選ばれている。
(2) 八女市にある岩戸山古墳は、九州で1番大きい前方後円墳である。
(3) 全国茶品評会で22年連続産地賞を受賞している八女茶は「煎茶」である。
(4) 八女市には国の重要伝統的建造物群保存地区が2ヶ所ある。
(5) 八女市の面積に対する森林面積の割合は65%ですが、智頭町の森林面積割合よりも大きい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました! クイズは何問正解できましたか?
智頭町・八女市ではそれぞれまちのコインを導入しています。智頭町の通貨は「てご」、八女市は「ロマン」です!近くに住んでいなくても、どこからでも参加できる体験もご用意しているので、もしよかったらダウンロードしてみてくださいね。初回ログイン時に500てご/ロマンをプレゼント🎁
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