工作機械の歴史『マザックの挑戦100年』
今回は日常では表に出てきにくいに製造業の中でも工作機械のメーカーの本について紹介致します。
Mother Machine 工作機械で世界に挑み続けたマザックの100年というタイトルで2020年6月30日 題1刷 著者 神館和典 (株)幻冬舎メディアコンサルティング発行の書籍です。
その一世紀にわたる挑戦の軌跡と帯に書かれている本書は、第1章 機械を作る機械をつくれ 従業員1名。山崎定吉、裸一貫での創業から始まり、終章 巧の地の技術を世界へ 次世代を担う人材を育成までが記載されており同業界で働いていたものとしては興味深く吸い込まれるように一気に読んでしまいます。
プロローグより、通常工作機械が働いている工場の現場ではなく、場違いと思われるような緑多き丘陵地にガラス張りのピラミッド型の建物が岐阜県美濃加茂市に2019年11月に開設された「ヤマザキマザック工作機械博物館」が過去の創業者から現在までのマザックの汗と油の結晶が展示されているとのことです。ディズニーランド、ユニバーサルスタジオの娯楽施設に行くのもよしですが、ものづくりや工作機械のしくみを知るテーマパークみたいなものです。こういった普段お目にかかれない博物館に足を運んで見学するのも、業界の方たちだけでなく一般の方の訪問見学もあたらしい発見や機械技術に親しむ楽しみもいいものではないかなと思ったりします。
2019年で100周年を迎えられたこの有名な工作機械メーカーの全貌を本書で垣間見ることができました。マザック以外にも老舗の工作機械メーカーはたくさんありますが、業界に積極的に技術と価格と海外市場に挑戦してきたメーカーという意味では肩を並べるメーカーがないかもしれません。それだけ本書を読んでいくにつれて紆余曲折、いろいろな危機や荒波を乗り越えてこられたメーカーであることがわかります。
韓国のある金型メーカーが、このマザックマシンが忙しく活躍していた場面を思い出します。当時私は勤務先が作るニッチな工作機械の海外営業担当で同顧客を訪問した際に、そのスケールの大きさに圧倒されたものでした。当方が営業していたのはニッチな専用工作機械でした。また最終仕上げ工程の機械でしたので前工程である切削、旋削、フライス加工の仕様の比較をすることはできませんが、その歴然とした工作機械というカテゴリーとして比較した際に、その差は歴然としており、嫉妬を抱いた記憶がよみがえります。手前味噌ですが自分の勤務先の作る世界最高レベルのニッチな仕上げ工程機械も絶対にこのお客様に満足していただこうということで一所懸命、販売代理店と取り組み受注できた事を喜んだときを思い出します。
この本から、マザックに流れる挑戦の歴史がわかったことで、自分も挑戦していくんだという少し勇気のもらえる本になっていると思います。
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