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Talker#06 | 平野史人(INAKA PROJECT)

大宮に隣接する緑豊かな"見沼"で活動している「INAKA PROJECT」
都市での生活の中にどうやったら自然を取り入れていけるのか?地域の課題解決にもつながる楽しさについてうかがいました。

TalkTimeの様子

INAKA PROJECTとは

位置図(スライドより抜粋)

INAKA PROJECTは大宮から東に位置する"見沼たんぼ"で活動しています。都市とイナカがつながるライフスタイルを目指して、農家さんなど地元の方と共に体験イベントを開催。平日は都会で仕事をし、休日はイナカで自然に触れる生活。その先には、地元の人と仲良くなったり、自分でも何か始めたり、都市の生活の中に+αな豊かさを与えてくれます。

参加されているみなさん(スライドより抜粋)

最初のきっかけ

平野さんが活動に至る最初のきっかけは、留学していたハワイでの授業。自国についてのプレゼンテーションの求められた時に、自国への認識の甘さに気づかされ、日本での暮らしを真剣に考えるようになりました。生活の一部に自然があるハワイでのライフスタイルからも影響を受け、帰国後は農的な経験が無いままに、身近な範囲で自給自足を始めたそうです。
その中で「自給自足」を目指すのでは無く「都心での生活の中に自然を取り込む」というイメージが出来つつ、もう少し農的な暮らしをちゃんと身に付けようと、インターネット上で師匠を見つけ、その方のいる里山へ通いながら、自身がやりたいと思っている暮らし方を少しづつ取り入れていったそうです。
また師匠が古民家の維持に困っていたことから、都内の仲間に声がけして改修をしたり、人手不足で出来なかった農体験イベントを開催したり、自分たちが楽しんで何かをやることによって、地域の課題解決になった体験や、そこでの仲間が今にも繋がっています。

平野:修業を終え、自分の地元で活動を始めようと場所を探した時、人伝いに紹介いただいた農家さんから、今活動している場所を見せてもらったんです。耕作放棄地になり雑草がバーっと生えている風景で、農家さんから「ここに人が来る居場所が出来たらすごい幸せだ」と言ってもらって、自分の思いと重なりスタートしました。話をした翌週から農家さんの指示の元に雑草刈を始めるスピード感で、開拓から一緒に始めました。自分たちは楽しくてやってるんですけど、自分たちが楽しんで何かをやることによって、それで地域課題が解決されていくこともある。それがINAKAPROJECTの構造になっています。

スタート時から協同している農家さん(スライドより抜粋)

気軽に参加しやすい活動

平野:基本は一年間の活動メンバーになっていただき、コミュニティガーデンで好きな作物を育てていただいたり、僕らが企画した農業イベントに参加していただきます。手ぶらで来ても大丈夫な気楽さで受け入れています。単発での参加もできますが、年間のプランでじっくり自然と戯れてほしいという気持ちがあります。また一年間関わっていただくことで参加者同士のコミュニティが育つ実感があります。数年通っている家族は 、赤ちゃんだった子が大きくなったり、子どもが一人だったのが3人ぐらいになったりしています。そんな方々がちょっとした困り事を相談し合ったり、新しいコミュニティを作るようにもなってきていて、今では参加者さん同士が企画を立ち上げて、新しい参加者さんたちにつないでいる。そこが目指していた姿なんです。僕らだけではやれることは限られていますし、参加者さんから展開していっていることが、とてもいいなと思っています。

活動をやっていくうちに一緒に動く仲間は自然と集まっていて、INAKA PROJECT参加者からも、もう少し関わりたいという人や運営を担う方も出てきているそうです。農業の担い手不足により耕作放棄地が増えている現状に対して、このような気軽な入口が用意されていることで、次の担い手にもつながっているのです。

子ども連れの参加者も多い(スライドより抜粋)

さいたま新都心での展開

2021年から、大宮の隣"さいたま新都心"にある「SHINTO CITY(シントシティ)」(総戸数1,411戸・15階建)において、新しく出来た高層マンション住人と地域の方のコミュニティの形成を目指した自治会活動の企画協力にも携わっています。
マンション共用部で農家さんによるマルシェや、また小麦粉からパスタを作るワークショップなど、二ヶ月に一回くらいの定期イベントを開催していく形でスタート。そうこうしながら自治会の方と話す中で、去年から自治会の方に運営してもらう形で、敷地内に"コミュニティガーデン"をつくったそうです。そうすると住人の中から”ガーデンクラブ”が立ち上がり、畑で色々な野菜を育て収穫祭やったりと楽しみながら、コミュニティも一緒に育ち始めました。

平野:ちっちゃなことだけど、畑があることで自然と触れ合う最初のきっかけとなっている。きっとまだそんなに自然と遊んでいない子が、畑でちょっとづつ土を触ったりするのをニヤニヤしながら見ちゃいます。そういうのがすごい好きです。畑があることで色々なきっかけができているなと感じています。

マンション敷地内のコミュニティガーデン(スライドより抜粋)

自然と暮らすライフスタイル

平野:これから先は、海とか、山とか、川とか、畑以外の自然の中でもできるプロジェクトもつくっていきたいと考えています。見沼では出来ないこともあるので、フィールドを増やしていきたい。キーマンと場所があればそういうことができるんです。見沼での活動を大きくしてくことはあまり考えてなくて、自然とうまくいくサイズ感におさまっている感覚があります。このような場所が各地にあっても良いと思っていて、ここに来ている方たちも、海のプロジェクトに参加するとか選択肢が増えることで豊かさが増えていくのではないでしょうか。

お米を収穫している様子(取材時)

マチミチミーツ当日は仲間の農家さんや、オリジナルキャラクターの「のらねこくん」が野菜販売に会場に来てくれました。

のらねこくんと農家さんによる野菜販売

今後の展開も楽しみです。
INAKA PROJECT最新情報はHPでご確認下さい。


※この記事は、当日のTalk以外に事前取材の内容も合わせて記載しています。

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