【読書】最貧困女子

筆者曰く、貧困とは3つの無縁と3つの障害がある。
無縁:「家族・地域・制度」の無縁
障害:「精神・発達・知的」の障害
頼るところも行くところもなければ行きつくのはセックスワーカーとしての未来だ。
ぎりぎりの生活をしている(所得は125万前後)中でも家族、地域と良好な関係であれば幸せを感じることはできる。
貧乏と貧困は違う、貧乏で幸せはあり得ても貧困で幸せな者はいない。とても刺さる言葉だ。
家族との無縁が特にしんどさを感じる。子供時代に親に虐待され、ネグレクトされた者たちは居場所を求める。助けて構ってというサインを大人にだし非行に走っても、警察などの制度の大人は親元に少女達を返す。すると彼女達はこう思う、「大人は何もしてくれない、大人は頼れない」そして自由と居場所を求め、家出少女となる。
しかし、家出しても行く当てがなければ彼女たちは援助交際デリヘルに囲われ道具のように扱われる。そこから抜け出せるのは容姿なりなんなりで「何か」を持つ者であり、持たざる者は永遠に搾取され続ける。最下層の彼女達はずっとそこに居続ける。
日本社会は特に一度レールを踏み外したものに厳しいと感じる。また、異質を嫌い同調を好む。ただでさえ差別が多いセックスワーカー、ましてやその他の障害や無縁を持つ彼女達は本当に社会からゴミ層を見る目で見られるとまで筆者は書いている。「彼女達は本質的には被害者なのに」とも。
何も与えられず何も恵まれる孤独や苦しみを抱え、もがく気力すらも無くしてしまった彼女達に何をしてやれるのかと考えた。
ひとりひとりの目線が変わったら、みんなを大切になどとはクソくらえと思う。自分と違う者はやはり怖い。私自身そういった人間が周りに居たら助けたいと思うが現状自分自身も療養の身で何もできない。
せめて目線だけでもとなってしまうのがオチである。
何もできないとは本当に無力だなと感じるしかない。
読んでいて心がどっと疲れた。

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