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言葉だけじゃない!日本とアメリカで違うモノ

日本とアメリカで異なるものといったら、もちろん言葉。でも、それだけではないことを実感するのが、実際のアメリカ生活です。小さなことのようで、これがなかなかの曲者だったりもします。少なくとも、私のとっては。何のことかというと、生活には欠かせない、ありとあらゆる単位のことです。円とドルはもちろん、日本とアメリカでは、長さ、重さ、気温などなど、思いつく限りの単位が異なります。私の場合、アメリカへ来てかれこれ7-8年、ベーカリーで働いていることで、随分と慣れてきた部分もありますが、基本、慣れ親しんでいるのは日本式です。『アメリカ生活⇒英語が必要』の陰に隠れていながら、アメリカ生活にはもれなくついてくる盲点に、あえてスポットライトを当ててみたいと思います!

まずは、比較的シンプル、且つ、誰にとっても身近な存在の温度から。いわゆる、摂氏と華氏の違いです。日本で使われているのが摂氏で、英語ではCelsius(セルシウス)。『〇〇°C』のように表記されますよね。一方、アメリカでは華氏が使われていて、英語ではFahrenheit(ファーレンハイト)となり、『〇〇°F』と表記されます。ご存知の通り、摂氏では氷点が0度、沸点は100度です。なんて分かりやすい。これが華氏だと、氷点は32度、沸点は212度となるのです。意味が分からない。でも、唯一、華氏でピンとくるようになったものがあります。サクラメントの夏の気温。サクラメントの夏は、相当な暑さなのですが、Three digit(3桁)と呼ばれるものが、暑さのひとつの基準となっています。いわゆる、華氏で100度越えのこと。華氏100度=摂氏37.7778度。天気予報では「今週は、土曜日までThree digitが続く見込みです」みたいに使われます。あとは、私の場合、オーブンの温度は華氏で慣れてしまいました。クッキーは325°F、菓子パンやマフィンなどは350°Fという感じです。でも、家でお菓子を作るときは、日本のレシピを好んで使うことが多いので、その場合のオーブン温度は、ネットでいちいち調べることになります。そうだ、体温も、華氏だと全くピンときませんね。最近でこそなくなりましたが、従業員の検温をベーカリーのパンチームが担当していた時期がありました。単に、早朝から間違いなく出勤しているのが私たち、という理由で。正直、摂氏であれば37度と見ただけで「ちょっと高めだな」などと思うところ、華氏の数字を見ても同じような感覚は全くなし。大きな声では言えませんが、最悪な検温員です。ちなみに我が家の体温計は、私が日本から持参したものなのですが、旦那さんがこの体温計を使うと「36.5だって~」「あ、それなら大丈夫」みたいな会話は必須です。

続いては、距離。日本では、キロメートル(㎞)、メートル(m)ですが、アメリカではマイルになります。1.6㎞=1マイルで、つまり1マイルは0.621371㎞。なんでまた。。。当然、時速もマイルでの表記になり、カリフォルニア のフリーウェイ(高速道路)の制限速度は、時速65マイルとか70マイル。これ、㎞に換算すると、時速104㎞から112㎞になるのです。日本にいたころから、かなり頑張らなければ時速100㎞は出せなかった私としては、ドキドキなスピードです。ちなみに、住宅街の制限速度は、時速25マイルとか30マイル。㎞換算すると、時速40㎞から48㎞。道幅が広いとはいえ、結構速いですよね。また、初めて行く場所をGoogle Mapで調べても、『目的地までの距離〇〇マイル』ではなく『目的地までにかかる時間〇〇分』の方を参考にします。もちろん、私がマイルに不慣れなように、アメリカの人にとっては㎞は、全感覚が分からないもののようです。1㎞=1000mということを知らなかったとしても驚いてはいけませんね。

同じく長さの単位の、センチ(㎝)とミリ(㎜)。アメリカでは、フィート(ft)とインチ(in)が使われます。アメリカへ来る前の私の知識は、1フィート(1 foot)は足のサイズだから大体30㎝くらい、1インチは大体指の1関節の長さ、というものでした。間違っていはいませんし、その知識が今でも役に立つことがあるのも事実ですが、やっぱりピンとこないし、不便な気がしてしまいます。3フィートが大体1mということになりますが、「1m」という、とっても分かりやすいものが使えないのは、もどかしいかぎりです。また、1インチは約2㎝ですが、それがどうしても「1」には思えないのです。他にも紛らわしいのが身長。私の身長157㎝は、フィートにすると5.15092フィート。アメリカへ来たばかりの頃、グリーンカードの手続きの一環で、身長は?と聞かれて言葉につまっていたところ「あなたは5.2(Five Two)ってとこかしらね」と言われたことがありました。その時、なぜか私の頭の中では「152㎝はお母さん」という思考が生まれ、「いやいや、私は5.7だと思う」なんて答えたりしていましたっけ。当然、全く聞いてももらえませんでしたが。だって、5.7(5フィート7インチ)は173.736ですから。ちなみに、5.2(5フィート2インチ)は158.496センチ。あら、係りの人、さすがだわ。その他に、ベーカリーで働く私を悩ませたインチが、ケーキのサイズ。最初に働いたベーカリーは、日本人オーナーで日本人ヘッドベーカーによるお店だったので、インチが使われることはなかったのですが、2店目は完全にアメリカンなベーカリー。「9インチのケーキを5個切って」とか言われても、最初のころはどれが9インチなのかも検討がつかず、苦労したものでした。

さてお次は、液体。日本ではリットル(ℓ)、アメリカではガロンが使われます。私の1リットルの基準は今でも牛乳1本。そこはアメリカでも、やはりミルクが基準になるようで、最も一般的なミルクのサイズが1ガロンです。ちなみに1ガロン=3.78541リットル。牛乳3リットルは多いですよねぇ。ということで、半分サイズのハーフガロンというものもありまして、我が家が買うのは、このサイズ。当然のことながら、ガソリンの値段も1ガロンあたりの値段になります。最近はガソリンの値が高止まりしていますが、今だと1ガロン4ドルを切っていたら安い感じかな。それでもリットルに換算するとリッター百円ちょっと。車大国のアメリカなので、ガソリンに関しては日本より安いのではないでしょうかね。そうそう、液体には、他にもクォート(quarts)というものがあります。これは正直、今でもよく理解していないのですが、どうやら4クォートが1ガロンになるようです。そして、 1クォートが2パイント(pints)。う~む、これはベーカリーでも、ほとんど使いませんね。

最後は、私がちょっとは慣れ親しんだ重量。日本はキロ(㎏)とグラム(g)、アメリカはポンド(Pound)とオンス(ounce)。あ、これ、日本語だとどういう訳か、ポンドとオンスとなるようですが、英語をカタカナで表記するなら、パウンドとアウンスのほうが近いです。ポンドとオンスでは伝わらないのではないでしょうかね。単位の表記としては、ポンドは『#』オンスは『oz』が使われますので、これでいきますね。さて、1#は453.592グラム。つまり、大体2#で1キロ弱ということになります。私には、バター一塊が1#。20#までならこのボールに収まる、のような感じで身に染みています。ちなみに1㎏=1000gですが、1#=16oz。ここが間違えやすいとこ。1.5#は1#8ozなのです。特に、レシピを2倍にしたり、3倍にしたりするときは要注意。私は、2店目のベーカリーへの移動が決まった時に、これだけは覚えなきゃ、と『1#=16oz』だけを頭に入れてスタートしたものでした。それでも、例えば10#がどれほどの量なのかの感覚がなかったので、必要以上に大きなボウルに粉がチョボッだったり、ボウルに入りきらずあ~ら~、なんてこともしょっちゅうでしたよ。こればかりは、経験を積み重ねることで身に着いた感覚です。

あとは、アメリカではカップ、1/2カップ、1/3カップ、1/4カップ、テーブルスプーン(Tb)、ティースプーン(tb)、1/2ティースプーン、1/4ティースプーンがよく使われます。要は大匙、小匙のことだとは思いますが、これも慣れていないとややこしくって。全てグラムで量れば間違いないように思いますが、アメリカでは手軽さを優先するとスプーンになるようです。ちなみに、1テーブルスプーン(Tb)=3ティースプーン(tb)。4テーブルスプーン=1/4カップ。2店目のベーカリーで、私が最初にやらかしたのは、ここでの混乱によるものでしたね。レシピを渡されて「量っておいて」と言われたものの、かなり混乱しながら計量した記憶が残っています。そのほかにも、『バター 1/2カップ(Butter 1/2 cup)』と書かれていて、「???」だった私は、1/2カップとバターの塊を手に、当時私が心ひそかに「朝青龍」と呼んでいた、意地悪な同僚に向って首をかしげたところ、「No!カップに入ったバターなんていらないからね!」と言われたものでした。今となっては笑えますが、当時の私は深刻でしたよ。

最初はアウェイ感しかなかったそのお店で、私が初めて面倒をみたインターンの高校生の男の子がいました。この少年がとても素直で、しかも日本にも興味があったりして。私がベーキングの基礎を教えて、時には彼が私にちょっと変わった英語の表現やら、アメリカの風習を教えてくれる、とても良好な関係だったのです。その彼が、あるとき「アメリカは、なんでもかんでも自分のやり方が正しいと思っているけど、単位に関しては全くもって少数派で意味が分からないんだけどねぇ」と言っていたのです。それ以来、「私が直さなきゃ、合わせなきゃ」ではなく、むしろ「全くもう…ブツブツ。。。」と言う具合に、こちらが合わせてあげているんだ感覚が生まれ、気持ちの上で楽になりました。

最後にもうひとつ、体重について。どういうわけか、自分の体重はポンド(#)で見る方がショックが少ない、という不思議(笑)。上でも書いたように1#=453.592グラムなので、ポンドで見る方が、数字に動きがあるからなのでしょうか。というよりは、㎏で見てしまうと逃れられない感じがするところ、ポンドで見ることで、どこか「ふ~ん」と腑に落ちなくてもいい感じがするからなのでしょうか(笑)。という訳で、我が家の体重計は㎏への変更が可能にもかかわらず、ポンド表記のまま。これが㎏表記に変わった時こそ、本気のダイエットモードということで…。


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