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【イベントレポート】Xsector Kyoto最終報告会ーコロナ前後の変化を語ろうー

まちとしごと総合研究所では、2019年度から「Xsector Kyoto(クロスセクターキョウト)」を立ち上げ、まちづくり団体、NPO、企業、行政、大学関係者等の異なるセクターのさまざまな主体が、共通のゴールを掲げ、お互いの強みを出し合いながら地域課題の解決を目指すための実践的なプログラムを実施しています。

2019年8月にキックオフイベントを開催して以降、参加者は6つのチームに分かれて活動してきました。当初、最終報告会は2020年2月29日に開催予定でした。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、開催延期が決定。5月23日にオンライン開催という形で実施し、2019年度に予定していた全てのプログラムを終了しました。

開始時と終了時で、社会情勢がガラリと変わった今回のプログラム。個々人にとっても大きな変化があったことでしょう。そうした背景から、各グループからの近況報告と参加者によるダイアログの二本立てて開催しました。

▼キックオフイベントのはこちら。
https://note.com/machigoto/n/ne27c6463f01e

期待と不安が入り混じったチェックイン

zoomに入室してくる参加者からは「お久しぶりです」との声が次々と聞こえてきました。それもそのはず。2020年1月に開催した全体プログラムから早4ヶ月が経っていました。

プログラムに入る前に、チェックイン。一人ひとりの今の気持ちや最終報告会に期待することをシェアしていきます。

「皆さんにどんな変化があったのかお伺いしながら、次に繋がる一歩を見つけられたら嬉しいです」

「ウィズコロナ・アフターコロナと呼ばれる時代の中で、各チーム活動の展開を今後どうしていくのか聞きたいです」

「チームとしてもコミュニケーションをなかなか取れないまま本日を迎えました。心配な面はありますが、情報交換の場として皆さんのお話を聞きたいです」

「2月の最終報告会に向けて準備していた資料や動画を、皆さんにお見せする機会がようやく来たとワクワクしています」

第一部:各グループからの近況報告

キックオフイベントの後、実施した第2回(12月開催)、第3回(1月開催)のプログラムでは、参加者の興味関心からチームをつくり活動を進めてきました。Xsector Kyoto第一期で生まれたのは、全6チーム。チーム発表では、1月以降のチーム活動の状況を共有していただきました。

●中小企業チーム

中小企業チームは、「どうしたら自社の未来を自分ごと化できる人が集まる会社をつくれるのか?」といった問いから生まれました。
経営者や経営に近い役職を担うメンバー中心に構成されています。

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「多くの中小企業は、教育や採用にかけるリソースが足りません。そこでオープンイノベーションの考えを取り入れ、複数の会社から似たような役職や立場の人が集まり、会社の課題に対して改善策を考えるような会をつくりたいと考えています。実行段階に移る前に、コロナで止まってしまいましたが、自立して自走していく組織づくりをボトムアップで進めていけたらと、検討中です」(中小企業チーム リーダー中西さん)

●教育チーム

教育チームは、「感性を磨く教育」をテーマにプロジェクトを進めてきました。活動の一つとして、2月末に開催された「Design Week Kyoto」では、「108人でつくる煩悩袈裟」と題して、法衣を縫う体験ワークショップも開催しました。コロナの影響によってチーム活動は一旦お休みになり、現在は個人活動メインで進めています。

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「浄土真宗の法衣店を経営しています。そのネットワークを生かして、宗教や文化を楽しく学ぶ『直七大学』を開講しました。コロナの影響で今のところオンライン開催ですが、今後はリアルな座談会や、職人さん訪問など体験授業も実施予定です」(教育チーム リーダー川勝さん)

●環境チーム

環境チームは、「未来の当たり前を今つくろう」をテーマに、気候変動に対応する新しい日常のあり方を模索していきました。情報発信をしながら、実際に取り組み始めたのがエコキャンプです。

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「2月に直七法衣店の屋上をお借りして、実験的にエコキャンプを開催しました。電気とガスを使わずにご飯を作って食べたら、どうなるだろうって。実際やってみてわかったのは、準備が大変だということ。火を燃やすために木の枝を拾い集めたり、食材やキャンプ用品を運んだり…エコよりも防災意識の方が高まりました。でも、マイカップとマイ箸片手にみんなでキャンプをするのは楽しかったので、日常の中で環境を勉強する機会としては良さそうです。コロナが落ち着いたら、Xsectorのみなさんとキャンプをしたいですね!」(環境チーム 村上さん)

●地域コミュニティチーム

「地域コミュニティの実験」をコンセプトに活動してきた、地域コミュニティチーム。「来てよし・暮らしてよし・遠くで思うもよし」のまちをつくることを目指してきました。

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「まずはリアルな場所をつくってみようと、1月にイベントを開催しました。手作りおばんざいを提供、三味線コンサート、アイシングクッキー作りなど子供から大人まで楽しめるコンテンツを用意して。当日は5歳から92歳までご参加いただきました。

『ここに行けば面白い出会いや発見がある』と思ってもらえるよう、継続して開催することが大切だと思います。2月以降は、毎月第二金曜日の夜を、メンバー主催の食事会開催日に設定し、たこ焼きパーティーや一晩限りのスナックを開いて、たくさんの方にご参加いただいています。4月以降はコロナで延期になっていますが、落ち着いたら再開したいです」(地域コミュニティチーム 佐久間さん)

●半径3メートルチーム

「あなたの半径3メートルを見直しませんか?」との問いからスタートしたチーム。忙しい毎日の中で、世の中が良くなるにはどうしたら良いかを考えていったところ、本当に大切な「今」と「家族」を置いてきぼりしていることに気づき、「家族会議レストラン」を始めました。

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「夫婦円満のために会話は必要だと思いますが、照れ臭かったり気恥ずかしかったりして、長くいるほど本音を言えなくなってしまうことがあると思います。そこで考えたのが、家族会議レストランです。おいしいご飯を食べながらオリジナルで作った問いのカードを用いて、お互いの話をする機会をデザインするものです。コロナによって家族の関係性や飲食店のあり方も問い直されているので、さらなる広がりを考えていきたいと検討しています」(半径3メートルチーム 伊藤さん)

▼家族会議レストランのプロモーションムービー
https://youtu.be/4EYmK7jhFa8

●笑顔LABOチーム

「笑顔が広がって、いきやすい社会に」をコンセプトに結成された、笑顔LABOチーム。ありのままの自分を受け入れてくれる空間から、笑顔は広がっていくのではないかと仮説を立て、イベント「笑顔クリエイティブラボ」を開催してきました。

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「12月には、みんなで料理を作って食べるクリスマスパーティー、2月にはボードゲーム大会を開催しました。いくつか場を設ける中で、『遊び』がキーワードだと気づきました。中でもゲームは、笑顔を広げる空間をつくるのに適していると考えています。ゲームは年齢関係なく楽しめますし、感情が動くので人となりも見えてきます。初めましての人とも、素の自分で仲良くなれるツールだなって。2月に開催してからコロナの影響で実施できていませんが、今後はオンラインでもボードゲームをできないか試しながら、笑顔になる場をつくっていきたいです」(笑顔LABOチーム 栗木さん)

第二部:参加者によるダイアログ

休憩を挟んだ後、第二部の参加者によるダイアログに進みました。テーマは2つ。

・コロナによる起こったあなたの変化は?
・これからに向け、私たちが取り組めることは?

zoomのブレイクアウトルーム機能を使い、4〜5人に分かれ対話を深めました。

「家族と過ごす時間が増えた分、意見の食い違いも起こりやすくなりました。身近な人とゆっくり話をする大切さを改めて感じていたところなので、家族会議レストランのイベントに参加したいです」
「コロナでたくさんの情報が溢れる中、自分の頭で考えて正しい選択や行動をする難しさを実感しています。自分の頭で考えることができる教育は、今後ますます重視されるのではないでしょうか」
「医療関係で働いていますが、コロナで時間があるからと、普段はお忙しいサラリーマンの来院が増えました。健康状態を保つためにも、継続して通院いただける方法を考えていきたいです」

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不安と期待が入り混じる中で、スタートした最終報告会。
近況報告とダイアログの時間を経て、イベントが終わる頃には参加者の皆さんもスッキリした表情をされていました。

Xsector Kyoto第一期は、これを持って終了です。しかし、今後も各チームの活動は続いていきます。気になる方は、イベントなどにぜひ足を運んでくださいね。

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