【メイド写真集】プロローグの続き
※本稿は分量の都合でカットしたプロローグ「或る美しきメイドの話」の続きです。写真集には含まれません。
* * *
「浮かない顔をしているね。緊張しているの?」
「いえ、少し考え事をしていました。申し訳ありません。これから大事な展覧会だというのに…」
「それは―」
はっとして、胸元のネックレスに触れていた手を放す。お辛いのはご主人様の方だ。
「華麗に着こなして見せます。お任せください」
「よく似合っているよ。僕が見立てた通りだ」
主人とメイドを乗せた馬車は、冬の街並みを駆け、豪奢な建物の前で止まった。メイドの手を取り、そっと馬車から降ろす姿は、主従が逆転しているようにも見える。
2人に集まる視線。
街ゆく人々は口々に言う。
“なんと美しい”
“スカートからのびる脚の綺麗なこと”
“まあ、あれが新作かしら―素敵ねえ”
“何が嗜好と至高のメイド服だ、伝統ある衣装を汚している”
“今年もこれで儲けるつもりか、貴族のお遊びはわからんねぇ”
“ママ、私もメイドさんになれば着られるの?とってもきれい”
“本当のメイドは、あんなものは着ないで下賤な下働きをするだけよ。メイドになるなんて二度と言わないで頂戴”
“どこのお屋敷に勤めれば、あんな衣装が着られるのかしら?”
“ふん、あれはメイドじゃない。メイド風の服を若く美しい女に着せて、連れまわるのが流行っているだけさ。庶民には縁のない話だね”
何を言われても気にしない。大切だから、そばにいるのだ。
-Fin-
* * *
以上、6/5 メイド博に出す写真集のプロローグの続きでした。
1pに収まりきらなかったのと、旅立つメイドに焦点を当てたかったので構成の際に削ったものです。
写真も含め、本稿は写真集本編には含まれません。
写真集に収録したプロローグ冒頭はこちら
本編収録写真のサンプルはこちら
東京メイド博覧会 I-4 Risbaco サークル出展
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