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【メイド写真集】プロローグ

prologue ―或る美しきメイドの話―

「本当に、行ってしまうのですか?お姉さま―」

お姉さまといっても、血縁の姉ではない。先にこの屋敷に勤めていた年長のメイドのことだ。
誰より主人を想い、長く仕えてきた彼女がどうして。

答えの代わりに微笑んだ彼女は、手のひらに冷たく光るものを握らせた。

「ご主人様からのネックレス―。こんな大事なもの、持っていていただかなくては!」

『大切だから、手放すの。ごきげんよう』

注)上記写真は写真集には含みません

アシンメトリーのスカートの裾をつまみ、
一礼した彼女は振り返ることもなく外へと向かってゆく。

慌てて追いかけようとした私を遮ったのは、ばあやだった。

「どうして!ばあやだって、あの子に限ってお給金に釣られて他所に行く筈ないって!」

「だからですよ」

ご主人様の乳母であり、いつもにこにこと穏やかにメイドたちを切り盛りしているばあやが、いつになく厳しい表情でそう言った。

「私にはわからない。どうして?」

「貴女は、大切なものはどうしたい?」

「大切なら、そばに持っておきたい」
「なら、貴女はそうするといいわ」

注)上記写真は写真集には含みません

      * * *

以上、6/5メイド博に出す写真集のプロローグ先行公開でした
美しきメイドに見送られ、旅立つ彼女の物語を描きます

なお、実際の収録写真のサンプルはこちらからご覧ください。

東京メイド博覧会(2022.6.5) I-4 risbaco サークル出展

写真集表紙と詳細


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