街場マチ子

1974年生まれ、職業は秘書(外資系コンサルファーム、管理職)。結婚→出産→離婚→シン…

街場マチ子

1974年生まれ、職業は秘書(外資系コンサルファーム、管理職)。結婚→出産→離婚→シングルマザー→シングルと荒波を乗り越えながら、働き、考え、書いてきました。Twitter: @machibamachiko

最近の記事

【書評】私は、私の愛するものを深く愛す ー小川洋子『約束された移動』ー

「私は、私の愛するものを深く愛す」 この本を読み終えてふと浮かんだのが、このフレーズだった。 半年ほど前、新刊コーナーで装丁の美しさと謎めいたタイトルに惹かれて購入。表題作を含めた6つの短編が収められている。 小川洋子というと、『博士の愛した数式』がベストセラーとなっていた当時に手に取って以来、久しぶりのことだった。切なく美しい文章を書くひとだとうっすら記憶していたけれど、今作でもあらためて、なんと淀みなく美しい、どこにも破綻のない日本語かと感嘆した。 しかし、油断す

    • ととのえる【整える・調える】

      世界を揺るがす未曾有の事態が起こり、私達が非常事態という日常を生きることになって久しい。 私が生きてきた45年のあいだにも、非常事態は大小様々に何度かあった。阪神大震災、サリン事件、そして東日本大震災。他にも挙げれば色々あるがしかし、日本中、いや世界中の全員が、ある日突然、いつ命を落としてもおかしくない日々が続くという状況は、おそらく第2次世界大戦以来のことではないか。日本ではあまり見かけないが、特に欧米で、この事態を第3次世界大戦と呼んでいるのも肯ける。私達は今まさに、感

      • エルサとアナと私の旅立ち

        2014年に『アナと雪の女王』が上映された時、この映画について、ひとつのブログ記事を書いた。 ポストモダンな『アナと雪の女王』の「その後」を予想してみた。 この中で、私は「この映画は終わって(END) いない」、むしろ「問題提起をしただけ」だと書いたけれど、その5年後に公開された続編の『アナと雪の女王2』は、この物語をきっちりと完結させ、私達に納得できる「答え」を提示している。そしてそれは、いまの自分にストレートに突き刺さる、とても力強いメッセージだった。 その「答え」

      【書評】私は、私の愛するものを深く愛す ー小川洋子『約束された移動』ー