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持続可能なまちづくりとは・「商店街とSDGs」の関係性を考える VOL.2(#3)

写真は平成4年(1992年)1月トイザらスの国内2号店となった橿原店(奈良県)の開店に、当時のブッシュ米国大統領が視察に訪れた写真です。同年11月には、全世界のトイザらス店舗の中で、1日および年間の売上最高記録を樹立をしたことでも話題にもなりました。平成4年と言えば大規模小売店舗法(大店法)施行中ですが、折しも日米貿易摩擦の最中で、非関税障壁打破の目玉的存在とみなされ、大統領自らが、ヘリコプターで直接乗り込むという分かりやすい外圧でした。これを機に規制緩和が進み、平成10年大店立地法が公布され、平成12年、小売り商業者の反対も空しく大店法は撤廃されます。

大店法規制緩和反対総決起大会

まちづくり三法に移行

さて、大店法廃止に変わり制定されたのは、2000年大規模店舗立地法(大店立地法)2004年中心市街地活性化法、2006年改正都市計画法と合わせたまちづくり三法と言われる法律で、従来の商業調整に変わる新たな枠組みへと転換していきます。

https://www.mlit.go.jp/crd/index/outline/pdf/machi3pou.pdf

大店立地法は、商業調整が排除され周辺地域の生活環境の保持を目的に、周辺の渋滞などの交通問題深夜営業の騒音や治安、また地域への貢献活動を規定する内容に。
中心市街地活性化法は、市町村が作成する基本計画の内閣総理大臣による認定制度を創設、地域が一体的にまちづくりを推進するための中心市街地活性化協議会を作り、その計画に対し様々な支援を投入するという内容です。
また、改正都市計画法は、行政が都市の健全な発展を進めるため、適正な制限をするための法律で、例えば、再開発事業を行うと都市計画決定という手順がありますが、この地域でどういう開発をするのか計画を提出し都市計画審議会で審議し認可されます。この審議会の根拠法がこの改正都市計画法です。
しかし、1960年代後半から始まった商店街および中心市街地の衰退は、このまちづくり三法が制定されても止まらず、2005年の産業構造審議会では「全国155都市の中で125都市の中心市街地で人口減少。全体の80%で商店数・年間販売額・事業所数が減少」と報告されています。

地域商店街活性化法

さて、何をやっても効果が出てこない国の次の一手は、2009年に地域商店街活性化法を制定します。これは、商店街を「地域コミュニティの担い手」として行う地域住民の生活の利便を高める取組を支援することにより、地域と一体となったコミュニティづくりを促進し、商店街の活性化や、商店街を担う人材対策の強化を推進するための法律です。基本、中活法と建付けは同じで、商店街で認定計画を策定し、これを国が認定すると補助金 ( 地域・まちなか商業活性化支援事業 )の採択が優先されます。ここでも補助金です。

今回、違う点は、国と歩調を合わせ新たな商店街支援を具体的に実践する組織として、中小企業4団体(全国商工会連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会)が出資し、(株)全国商店街支援センターを設立したことです。内容は「人材の不足」「情報・ノウハウ・知識の不足」「外部との連携の不足」という3つの不足の課題を解決しようとするもので、発足当時、私もこのセンターの委託を受けて、主に三河の岡崎や安城、大府で講演しました。最近は春日井でも商人塾専門家派遣のメニュでお世話になっています。

https://www.syoutengai-shien.com/doc/busR4/R4shoninkasugai.pdf

ただ、これらの財源は国の予算ですから、ここでも補助金。もちろん佐久市の岩村田商店街の様に、上手く活用して活性化している商店街もあるので否定はしませんが、殆どの商店街は、補助金の打ち切り=持続不可能になっているのが現状です。さらにコミュニティの解釈が、単発のイベントゆるキャラでは、商店街側の勘違い、それに補助金を付ける国の無策ぶりにはあきれます。

そんな状況が続く中、2013年の中心市街地活性化推進委員会では、新たな都市マネジメントの方策が検討され、日本版BID法案が2018年に制定されました。BIDとは地域の地権者や関係者が自らの事業エリアにおいて、治安や事業活動を行うため資金調達をする仕組みです。NYのマンハッタン地区には多数のBIDがあることは有名です。日本では、現在、大阪で制度設計されているようです。

https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000402/402593/daiikkai-kaigisiryou.pdf

来年には人口減少・高齢化に耐えうる都市構造を目指すために、中心市街地活性化法の見直しも検討されているとか・・ いずれにしても時代の変遷、社会構造の変化など、商店街を取り巻く環境は一層厳しさが増してくると考えられています。


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