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「スクラム採用」のはじめの一歩を踏み外さないために採用担当が絶対にやるべきこと。

こんにちは。サーバーワークスのまつもとこうすけです。この記事は、スクラム採用 Advent Calendar 2019の20日目です。

なにかしらトレンドワードとなるものは、ファーストインプレッションが一人歩きしてしまい、本来伝えたかった意図や想いが多少ねじ曲がった状態で世の中に広まっていくことはよくあることだと思います。たとえば「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の文脈で様々なIT商材が広告されていますが、DXの本質をついた商材は意外と少ないのが現実です。シンプルに古い機材を買い替えましょうとか、とりあえずクラウドサービス使っとけばOKですよみたいな流れは残念ながらよく見かけます。

そんなトレンドワードのひとつに「スクラム採用」がもしかしたらランクインしてしまうのではないか、という自分勝手な危惧を持っていたりするのです。もちろんそうならないために提唱者のHERPさんはじめ、この「スクラム採用 Advent Calendar 2019」に名を連ねる採用担当の方たちが日々アウトプットとして「スクラム採用」の本来目指すべき姿を、スクラム採用を実施するための貴重なノウハウや考えをたくさん提供してくれています。まじで本当にありがたいです。超読んでます。

そんな中、まだまだスクラム採用に取り組み始めたばかりの自分たちの経験やノウハウがどこまで響くのか、だれに届くのか、ちゃんとした意図が伝わるだろうかという点で未知数だなというのが正直なところでした。ただ、スクラム採用に取り組み始めて間もない僕が伝えられるものは、これからスクラム採用を始めようとしている採用担当の最初の一歩の踏み出し方なのではないかと思い、今回記事を書いてみています。ノウハウというよりも考えのベースとして持っておきたい抽象的なものになると思うんですが、ぜひ参考にしてもらえると幸いです。

なにが一番大きな課題なのか、それはなぜ起きているのか

スクラム採用をしたい!という考えに至ったということは、なにかしら現状について課題感を持っていることが想定されます。まずはその課題は本当に本質的に課題なのかどうかを思考するところからスタートすることをオススメします。できれば定量的に説明ができるよう実際の数字を用いて、ここが課題であると明確に言語化できるとなおよいです。たとえば「採用担当の負荷がとても高く、現場の要求にスピード感もって応えることができない」という課題があがったとします。しかしこれはまだ解像度があまり高くない状態です。

まず、「採用担当の負荷が高い」という状態を数値で説明できるようにすることから始めてみましょう。どういった作業にどれくらい時間を費やしているのか、日次で発生するものなのか、月に数回の重ための作業なのか、経営陣からの割り込みオーダーなどのイレギュラー対応なのか、ルーティンだけれどもひたすらに物量が多すぎるのか、これらを箇条書きのテキストベースでよいので書き出し、手描きのメモでもなんでもよいので、作業にかかった時間をひたすら計測するこを何日か続けてみます。

すると自分の体感と実際の数値に差がでることがほとんどです。作業としてはそんなに時間がかかっていないのにメンタル的にとりかかるのが億劫なもの、すぐ終わっているかと思いきや前後の準備含めると意外と時間がかかってしまっており、且つ付帯作業(連絡待ち、処理待ちなど自分がコントロールできないもの)によって大きく数値に差がついてしまっているものなど、ここで初めて詳細を把握することができるタスクが意外と多いのです。

この洗い出し作業のコツとして、ひとりで考察や分析を実施しないことです。壁打ちでもなんでもよいので、だれかと対話をしながら進めていくことによってタスクのブレイクダウン粒度や時間感覚に対して、ある程度冷静に判断ができるようになります。このときの相手は採用業務の経験者というよりは、ロジカルシンキングが得意で、タスク管理をきっちりシステマチックにやっているようなタイプの方にお願いするとよいでしょう。

洗い出しする時間もないよ、という方はもしかしたらかなり多いのではないかと予想していますが、ここはもうしっかりあらかじめ時間をとって取り組むしかないです。一度洗い出してしまえば、なんでこんなに時間がかかってたんだろう、あぁだからこのタスクって気乗りしないのか、などと客観的に自分の作業を振り返ることができるというメリットがとても大きいため、現在持っているタスクが多少遅れてしまうよりも優先すべきであると思います。

まずは自分の作業を棚卸しし、しっかり理解することが最低限必要なことであるということです。ラグビーのスクラムにおいても自分の役割をきっちり理解した上で取り組まなければ、ちぐはぐなスクラムの組み方になってしまい、あっという間に相手に崩されてしまいます。

Whyから始めるために、Whyを知る

作業の棚卸しだけで満足してはいけません。次に作業の中での課題がなぜ起きてしまっているのか、ボトルネックはどこなのかという点まで自分で他者へ説明できるようになるまで咀嚼していきます。この際に気をつけるべきは、自分の意見や解釈ではなく事実ベースで説明できるようにすることです。「誰々が協力的ではなくて確認に時間がかなりかかってしまうことが原因」ではなく、「誰々に依頼するタイミングがその方のほかの重要な会議と重なっており、連絡も一度Slackで投げただけなので忘れている可能性が高く、そのあと特にリマインドも未実施だったため、最終的に確認完了が想定よりも2営業日遅れてしまった。」といった具合です。

ここまで来てはじめて改善のためになにから実施すれば効果が出そうかが見えてきます。たとえば先述の課題に対しては、しつこくリマインドを投げ続ける、カレンダーに予定を入れる、直接捕まえて話すなどなど、課題に対してアクションが明確化しやすいですよね。明確になればすぐに行動に移せます。棚卸しと理由の深掘りがないと、「採用担当の負荷が高いのは現場のあの人が非協力的だからであり、それをカバーするために自分がタスクを巻き取ってとりあえず前に進むようにする」みたいな根性論とか人海戦術ありきのアクション(しかも「巻き取って前に進める」という具体性がかけるもの)になりがちなのです。

ものすごく当たり前のことだと感じるかもしれないですが、自分を含めこういった状況に陥っている人は意外と多いです(反省)。課題やタスクに埋もれそうになったときにこそしっかりと棚卸しをして、理由を説明できるようにし、解決のための明確なアクションまで落とし込むことがとても大事です。この一連の流れをひたすらに繰り返し、自分たちが直面している課題を明確に、そして改善のためのはじめの一歩をスムーズに踏み出せる状況をつくることこそが、ほんとうの意味での「はじめの一歩」となると思っています。

え、ちょっと待ってスクラム採用との関連は?

そう、これってスクラム採用と直接的な関わりが実はあまりないのです(汗)超売り手市場である中、採用課題に対しての改善手法としてスクラム採用を取り入れようとする場合にも、アプローチとしては全く同じことであるよと伝えたかったのです。むやみやたらにトレンドに飛びつくだけではなく、目の前の課題をしっかりと認識し他者へ説明できる状態にしておかないと、他者を巻き込んでいくことが必須のスクラム採用は成功から遠ざかってしまいます。採用担当がなにに困っていて、それがなぜ起きているのかがわからないとき、周りの人たちは手を差し伸べることすら難しいのです。気持ちがあっても明確なアクションを起こせなくなってしまいます。採用が厳しい、全社で採用をしないといけないというメッセージをトップダウンで出している組織も増えてきていますが、このような状況になってしまったら非常にもったいないですよね。

権力ではなく、影響力でスクラムを組もう

スクラム採用において重要なのは「権力」ではなく「影響力」だと思っています。社長が、上司が「スクラム採用を実施しろ!」といういわゆる「権力の行使」では絶対にうまくいきません。実行者が影響力を持ち、周りに対してよい意味で焚きつけていくことが必須です。細かい運用フローの設計や改善ももちろん重要なんですが、火種がない限りは燃え広がることはないのと一緒で、なにか新しいことに取り組むときの熱量も同じく「影響力」という火種がないと広がっていきません。だからこそ、いまの厳しい採用市場で勝っていこうという想いがあるのであれば、社内に対して採用担当者が影響力を持つことは非常に重要なのです。影響力はいろいろな方法でつけることができると思いますが、一番手取り早くかつ効用が大きいのは「情報共有」だと思っています。自分が認識した課題やその理由をまわりに説明し、共有することで影響力を増していくのです。この場合「影響力」は「共感」と置き換えてもいいかもしれないですね。

やっと実例の話ですが、情報共有をやるにあたってまず僕が実施したものは以下の通りです。

・半期の全社キックオフでプレゼンの時間をもらい、今まで「全社採用」と言っていたものを「スクラム採用」に変える!と宣言
・上記プレゼン内で、なぜスクラム採用なのか、現状なにが課題なのか、なにをこれから先やっていきたいのか、現場目線でシンプルなメッセージを伝える
・なにをやったら「スクラム採用につながるのか」実例をレベル感問わず10個以上紹介(会社Twitter公式アカウントの採用関連ポストをRTする、くらい具体的に)
・月1回、全社向けに採用状況を報告する会を開催
→資料内容として、スクラム採用をなぜやっているか、直近の入社メンバー紹介、応募者数の推移(通過率や辞退率、その考察結果)、リファラル採用状況、改善施策の状況報告、これから実施する施策共有、Q&Aという構成

スクラム採用として取り組む前に、いろんなメンバーから話を聞いたところ、一番多かった声が「採用活動でなにをしているのかいまいち分かっていない、なにをしたいのか。なにか困っていることがあれば協力はしたいので教えてほしい」といったものでした。なぜ協力してくれる人が少ないんだろう?というところからスタートしてしまっていましたが、そもそも採用の情報が社内へまったく伝わっていなかったんですね。そこで、考え、想い、状況、採用に関わる出せるものはどんどん出していくことにしました。これによって状況の共有と、想いを伝えることで全体の動きに活発感がでてきたと強く実感しています。

街へ明かりを灯し、人を集める仕組みをつくること

ひたすらに自分だけが燃えるだけではなく、薪を準備してもらえるようなひとたちを集め、火の灯し方をおしえ、火が消えないように見守り、街の明かりとして広がっていく仕組みをつくり、そしてその明かりを求めて街の外からたくさんの人たちが集まってくるような状況を作り、支え続けることが採用担当の役割であり、その文脈こそが「スクラム採用」なのではないかと思っています。

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明日はHERPユーザー会で乾杯のイメージが強いかどまいさんの記事です!お楽しみに。

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