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VO.10タネから始まる物語⑧「何を考えているかわからない??」

順調にすくすくと育っています。
適度に水をやり、土に栄養を含ませ、陽の光を充分に浴びる。

茎も葉も、しっかりしてきました。

心なしか、堂々としてきた感もあります。

目には見えませんが、土の中で根から水分や栄養を吸い、葉では光合成をして、一つ一つの細胞が活発に活動を繰り返しながら、成長しています。
呼吸もしているでしょう。

そしてここにきて、特徴も出てきました。
個性と呼んでも良いでしょう。
割と葉の多い植物です。

ただ、、、

未だにこの植物が何者なのかはわかりません。

どういう花を咲かせ、あるいはどういう実をつけるか、検討もつきません。

つまり何がこの植物にとって最善なのか、が、全くわからない。

これは言い換えると、この植物が、どうなりたいか、何を考えているかがわからない、読めない、という状況です。


お前は何という植物なんだ?
お前の正体は?


でももし、この植物が、自分は◯◯という植物で、こんな花、こんな実をつける植物で、そのために、これが必要、あれが必要、あれはダメ、これはダメ、と主張してきたとし、私がそのとおりに世話をしたら、どういうことが起こるでしょう。

この植物と私との関係性が「主従関係」のようなものになる気がします。それは初めから「結果」ベースでの関係性を意味し、結果、成果ありきとなり、その結果や成果が望ましくなかった場合、きっと関係性は終わります。口では「大丈夫!気にしないで!」と言ったところで、心の溝が出きます。

上手く綺麗な花を咲かせたり、美味しい実をつければ、私のおかげ、私はよくやった。
逆に上手くいかない時は、あれだけやってやったのに、コイツはダメだったんだ。

大切なのは、今ココの関係性。
相手が何を考えているか、何を望んでいるか、の視点ではないということ。
今、何が表現されていて、どんな状態なのか。それはまるで一体となっているかのように感じ取れる関係性を作っていくことではないでしょうか。

育てるのはひとつの個体ではなく、この植物と私の関係性と、植物と私が一体化した「新しい何か」の創造だと感じます。

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