VO.6 タネから始まる物語④「存在」
ふた葉になりました!
根もだいぶしっかりしてきた感じです。
ここまでくると、個性も出てくるもので、
どんな花を咲かせるのか、あるいはどんな実をつけるのか、という想像にも少し実感も出始めてきました。
せっかちな気持ちも出て、こんなことを問うようになります。
「キミはどんな色のどんな形の花になるんだ?それとも美味しい実をつけるのかい?」
ふた葉は当然答えませんが、タネの身になってみると、こんなことを訴えている気がします。
「どんな花かは私にはわかりません。わかるはずがありません。食べられる実をつけるかどうかもわかりません。ただただ今、日光をたっぷり浴びて、水を吸って、栄養をとってるだけ。
あの黄色い花や、あの赤い花みたいに、綺麗な花を咲かせるように期待されても、あの美味しい実のようなものを付けようと期待されても、それはあなたの勝手な期待です。期待することが悪いわけではありませんが、期待する結果を出せるか出せないか、ではなく私の存在そのものをよく見ていてください。そして存在そのものから価値を見出してください。
私は私として、今の私を大切にしていきます。
そうでなければ、もし憧れの花をさかせなかったり、楽しみな実をつけなかったときは、がっかりしたり、非難したりされるんだと思います。あなたの期待通りにいかない、あなたの役に立たないというだけで、私の存在は否定されるのかもしれない。そんな不安と恐怖を抱えながら過ごすだけです。」
この世に存在している、ということは、
どこかの誰か、何かにとって価値ある存在となる。
既存の価値とは別の、新しい価値を見出すことだってある。
マンダラケ
という植物をご存じでしょうか。
画像ウィキペディアより
決して色鮮やかな花ではなく、美味しい実でもなく、その上毒をもった危険な植物です。
しかしその成分は、使い方によって、人間の手術に必要な麻酔の役目を果たし、その人間を笑顔にさせる力を持ちます。
持っている能力を最大限に発揮する場、環境をどう見出すか。周りの勝手な期待に応えようとばかりしてると、本来の自分の能力を知らないまま一生を終えてしまうかもしれません。
ありのままの姿をよく見て、その存在自体を愛おしく、今ココを大切にすることに意識を向けることは、必要なことと感じます。
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