見出し画像

華金なので

君と初めてデートをした街に来ました。


初めてちゃんと出掛けたのは映画館でした。


本当はただご飯に行くだけだったんだけど、「映画みたいって言ったら怒る?笑」って彼の方から誘ってくれたんです。怒るわけないじゃん。私は彼のことが好きだったから嬉しくて嬉しくて、でも恥ずかしくて、「仕方ないなあ」なんて言いながら。


君は高校生で、私は専門の学校終わりだったね。学ランが似合う彼が大好きでした。私だけ私服で何だか少し気まずかったけれど、会えるならどんな形でも良かった。スタバに行って、1番大きいサイズのフラペチーノを2人で飲みました。デカいなあ。美味しいって言ってる可愛い彼の姿を動画に収めて、何度も何度も見返しました。可愛いエフェクトとか付けちゃって。


そのまま楽器屋さんによって、ギターを見ました。私も彼も音楽が好きで、アコギをよく弾くんだけど、ベースも欲しいねなんて話しながら楽器屋さんを回りました。かっこいいギター、欲しかったね。お揃いで買わなくてよかった。きっと君との思い出の物なんて、購入したとこで縋ってしまうし、離す事が出来ないから。



実は、学校の友達にも惚気けてたんだよ。「映画観ることになった」って前々から報告してたし、その日に撮った彼の写真、動画も自慢したりして、付き合う前の楽しさってこうだよなあ。なんて思ってました。


こういうのって、付き合った後に報告し合うと面白いですよね。実はあの時こうだったんだよ、とか、そんな前から自分のこと考えててくれてたんだ。こう思ってくれてたんだ、っていう喜びで溢れて、とっても幸せな気持ちになりますよね。君が私に伝えてくれた言葉の一つ一つが、脳に焼き付いています。今も離れないんですよ。


「勇気出して誘ったんだよ」って。
映画を見ながら、ポップコーンを食べて、お互い食べさせあったりとかしちゃって。彼は映画館に来て、ちゃんとフードとか買うタイプだったんですよ。ポップコーンはまあ定番だけれど、チキンとか、ポテトまで購入して食べるんです。いや、食べすぎでしょ。でも私はそんな彼を見てかわいいと思ってしまって、かわいいなんて感じてしまったらもう沼確定じゃないですか。泥沼でした。たくさん食べてくれる彼が大好きでした。かわいいのに、こんなにも愛おしいのに、男らしい彼が大好きでした。


放課後とか、やることを一通り終えた後の予定って楽しいですよね。辛い日常だけど、終わった後に楽しみがあるって本当にありがたいし、先の予定を立てると「この日までは頑張ろう」って思えるから、生きる理由になる。


思い出の場所がありすぎて、困るね。
もうこんな街、早く出ていきたい。


一緒に自転車を漕いだこの道も、2人であるきながらアイスを食べたこの道も、温泉帰りに寄ったコンビニも、君が就職して初めての出勤日、会社まで一緒に歩いたあの道も、仕事終わりに集合したあの駅も。全てが、輝いていて、悔しいです。




きっと彼は、私が好きなの気付いていた。だから誘えたんだよね。断られるなんて思わなかったから、誘ったんだよね。きっと、対して勇気も振り絞っていない。勇気出した、なんて、そんなしょうもない嘘も嬉しかった。君が取る行動、君の発言、全てが愛おしくて。



映画、誘ってくれて本当に嬉しかったよ。


本当は私のキラキラした気持ちとか、期待とか
与えた分の愛とか全て返して欲しいけれど

私は君とみたあの映画を、
忘れたくても忘れることは無いよ。ありがとう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?