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VCR GTAはなぜ面白かったのか

スト鯖GTAが2023年7/29を持って終了をした。

10日間にわたって行われていたにもかかわらず、なぜか日中、深夜を問わずtwitchやyoutubeを開き、そこで行われている何かに熱狂し熱中した
それゆえにスト鯖が終わった後、各チームが集まって最後のお別れをしているシーンなどに感動した人も多かっただろうし、それが終わった翌日もたくさんの切り抜き動画がyoutubeにはアップされていて、スト鯖ロスをそれを持って慰めている方も多かったのではないだろうか。

スト鯖ロス、そういえばなんでだっけ?

とても楽しかったし、面白かった。
終わった後には、祭りの終わりのような寂しさが残り、ロスというような状態にもなった。終わったその瞬間から、パブサをしたり、切り抜きを見たりして、その余韻をなんとか慰めようとした。
それらの慰めが終わると、不思議なことに途端に急激な日常へと引き込まれてしまった。

スト鯖が異常なほど面白かったということに気付かされるのである。

風呂にはいつも通りの時間に入れるし、夜の時間にnoteをこうやって書く時間もある。
動画視聴については寝る前に「大谷翔平」の情報を調べて、好きな実況者の動画を見て、睡眠導入にする程度の水準に戻ってしまった。
配信などはもっての外で、わざわざ調べるようなことはしない。
手癖で「にじさんじ 切り抜き」などと検索してしまうこともあるが、たいてい興味はなく「危ない、危ない」と元の世界に帰ってきて、どうやって幸せに生きようかななどと考えているのである。

今になって思えば、あの時はどうしてあんなに配信に食いついていて、どうしてあんなにパブサをして、どうしてあんなに切り抜きを見ていたのだろうか。


同じような経験

同じような経験は近年増えてきた。

❶ にじさんじARK 戦国ARK(2020)

例えば僕にとっては、にじさんじARKにおけるアイランド編での戦争を含めた一連の物語が強い衝撃であった。当時、生でその様子を見ていたわけではなかったが、その様子を何時間にもわたって多視点で切り抜いた非常に素晴らしい切り抜きがあり、それを見た後に強いロスに襲われたことを覚えている。
配信という形態によってこういったロスが生まれたのだと思っていたが、最初の出会いは配信という形態ではなかった。ただ、そこに出てくる登場人物が全員配信者であって、そのアーカイブが全て残っているということはおそらく重要な点であったと思う。
その後にじさんじARKでは、諸般の問題を受けてPvPが行われなくなっていき、当時のような強い感動をもたらすシリーズには出会えていない。

❷第二回 CRカップ Valorant (2022)

Look at Foreverが優勝した本大会は、自分がもともと好きで見ていた「わいわい」という実況者がこの優勝チームの一員であったこともあり、僕にとって非常に面白い大会で、Valorantというe-sportsにハマるきっかけになったものである。
この大会中はスクリムを含めてとんでもない時間をこの大会関連の動画や配信、パブサに消費していて、もちろん強いロスもあり、当時の自分としてはこれを怠惰とみなしてかなり凹んでしまったことを覚えている。

FPS系の大会では①V最協Season3における雪月花の卯月コウの存在は非常に面白く記憶に残っていて、非常に熱狂したのを覚えいているし、②V最協Season5においては、僕が好きで見ていたヤンナリ、ハユン擁する「ぴんくあらもーど」の活躍も見ていて楽しかった。
また、③第6回CRカップApexにおいては、わいわいが出場していることが目新しく大変面白く観戦したことを覚えている。
だが、第二回CRカップValorantと、この3つの違いは、ストーリー性と応援する対象がいたかどうかが大きな違いである。
①はストーリー性を、②、③では応援する対象がいたかどうかのみを含んでいる一方で、第二回CRカップValorantは二つの要素を含んでいた。
LAFは予選で負けていたチームに、本番当日にかなり苦しいゲーム展開の中で勝利をしたり、LAFと決勝で当たった秘伝の一族は、lowerブラケットをリベンジを果たしながら全勝して勝ち上がってきたりとドラマ性のある勝ち上がり方をし、決勝はどちらが勝ってもおかしくないような接戦で幕を閉じた。

❸第1回CRカップ ストリートファイター6(2023)

本大会も、わいわいという実況者が出場しており、彼が所属するチームが準決勝まで駒を進めている。これも先ほどの❷で述べた、「ストーリー性」と「応援する対象がいるかどうか」を多分に含んだものである。また、決勝で当たった相手チームがウメハラをリーダーとした配信界隈におけるスターを集めたようなチームであり、彼らも彼らでギリギリの試合を勝ち抜いてきていた。
決勝戦では、ウメハラがいわゆる「令和の背水の陣」を決め、劇的な優勝を掴んだというのが大筋である。
Valorantやストリートファイター6では相手視点が非常に大きなエンタメになっており、この大会でもパブサや切り抜きの視聴はもちろんだが、自分が応援しているチームに対する相手視点の反応を確認するために、さまざまな配信を渡り歩き、これまたとんでもない時間をこのエンタメの視聴に費やした。
僕はこの頃から、ようやく、この類のエンタメの強烈な面白さというのは、怠惰などとは違うのではないかと思えるようになってきていた。
なぜなら、それが終わるとすぐに、日常に帰るからである。


過去のyoutubeやニコニコ動画では動画が主流であり、配信者などもいたが、色々な制約で少し敷居が高くなっていた。
動画という形態では、このようなスト鯖ロスは起きなかったと感じる。
もちろん実況動画のシリーズが終了してロスな気持ちになるなどはあったかもしれないが、今回のような異常な熱気を持つことはなかったように思う。
一方で最近では、配信という形態がかなり一般的になってきており、当時動画の中で生きているのかどうかもわからない伝説だと思われていた人たちが、どんどんと一般の人たちが見られるプラットフォームで配信を始め、最近出てきたvtuberたちと和気藹々と絡むようになったことは、芸能人がyoutubeを始めるという現象と同じかそれ以上の衝撃を僕達に与えたことと思うし、今では当たり前のようになっている。
そうした配信が当たり前になった世界では、長時間の配信視聴が当たり前になってくる。
長時間の配信視聴は、僕たちの感覚を鈍らせていく。
一方で、それだけのめり込んだ配信視聴は、ストーリー性を持ち、最後には劇的な感動をもたらしてくれる。
それは配信者が演出するものでもあるし、それが上手い人たちが集まっている。
そして終わってみると、強烈なドーパミンの嵐によって、依存症の離脱に近いロス状態に入っていくということだと思う。

以下2024年3月以降に書いた文章

当時は、完全に依存状態だったと思う。
僕はこの面白さというものを言葉にすることで依存を肯定しようとしていた。
しかし本当は、コントロールした上で楽しむべきエンタメであるが、元来この類のエンタメは、時間をかけるほど面白いものであり切り抜き自体も長時間にわたる傾向がある。
そしてこれは、ゲームをしている配信者が一番感じている面白さを視聴者が感じ始めているということだと思う。
配信者と違って、視聴者は時間がない。
しかし、それを引き止めてでも配信を見てもらうのである。
そのためには、面白いを演出している暇はなくて、ゲームで配信者が感じている面白さをそのまま感じてもらうしかない。
だから指示コメとか鳩とかが生まれるのだと思う。
ビジネスとして、成り立つべくして成り立っているのが配信だと思う。
逆に、時間のある若い世代ばかりを取り込んでいくのでは、このコンテンツも終わりが見えてしまうわけで、大事なことは時間のない働き手達をどうやって巻き込んでいくかである。
もちろん今の状態でも十分できうるのだけど、依存的な部分が心配である。
自分自身が毎日15時間も画面に齧り付いていた身として。
心の弱い人間ほど人生をコントロールした方がいいし、そっちの方が楽だ。
弱い人ほど、この配信ビジネスには気をつけるべきだと思う。

ただ、配信の面白さをドーパミンだとしてしまうのはいささか尚早で、きちんと面白いところがたくさんある。
それを使いこなせない我々の問題だったりするのだけど、できれば切り抜きとかで映像を週ごととかに送ってくれるサービスがあれば、僕はそれを利用するし、それで推しに貢げるならそれをしたいし、推し視点からのストーリを組み立ててくれるはずだ。
youtubeに上がってる切り抜きだけでもいいんだけど、youtubeに上がってるのをみるのは芸がない。
なんか封筒とかにちょっと手書きのメッセージとかが入ってて、QRコード読み込んだら専用サイトで見られる。
みたいな。
そういうのでいいなぁと思ってしまう。

また、いつか、この素晴らしき配信の世界に戻ってこられるといいなと思う。

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