ずっと頑張り続ける未来が辛い
青と
土手で空を見た。
もうとっくに秋の空になっていて、風は涼しく、家では冷房もつけなくなったほどである。
瞑想の本を読んだ影響で、ぶつぶつと心の中で呪文を唱えながら階段を登ると、見事な秋空が広がっていた。
広い空は都会にいると見ることがなくて、一気に自由になった気がした。
いわし雲が厚みを帯びて空全体を覆っている。
灰色の雲が、青やらオレンジやらのハイライトを与えられて、遙か遠方まで広がっていた。
遠くまでその雲を追っていくと遠くに光芒が差している。
こういういい景色を見ると、すぐに泣けてきてしまう。
はずだったのだが、瞑想の本の影響で、今回は泣くことはなかったし、感傷に浸ることもなかった。
景色を見て、泣きたくなったり、エモくなるのは、自分の心が弱っている時が多い気がする。
知り合いに、趣深いという感覚を感じたことがあるかと聞いたことがある。
その知り合いは僕とは全く違うタイプで、一度もそんなことを思ったことがないという。
でもそんな人でも傷ついているのをみたことがあるから、きっと景色に感傷的になるってことも、自分が特別だってことにはならない。
感傷的思考
感傷的に景色を眺めているのは、昔は好きだったのだが、今は嫌いになってきた。
景色はこんなに美しいのに、世界はこんなにしょうもなくて、生活は辛くて、人生はつまらないと、頭の中まで感傷的になっていく。
どんどん被害者になっていく。
特にその後の「学び取ろうとする段階」が嫌いだ。
でも、そんな世界の残酷さと比べて景色は美しいのだから、、、、この景色から何か学びがあるはず、、、、、。
何かしら理屈を立てようとするけど、結局世界は美しいのだといって終わったりする。
世界は美しいというのは多分あってるし、その景色も美しい。
ただ、景色の美しさから、導き出そうとする感傷的な人生哲学は、目の前の苦しみを一つも取り去ってはくれない。
日々の物事を矮小化して、ミスが少しのミスと感じられるようになるかもしれないが、時間の問題で、またどうせ感傷的な景色思考が必要になったりする。
景色が美しい。
それをこねくり回していると、手垢のついた粘土はどんどん色が汚くなっていく。空色だったはずなのに、気づくと灰色や黒になっていく。
景色が美しいのは、嫌いかもしれない。
強制的に物事を考えさせられるから。
いいものを見せられてしまうと、しょうもない人生を意識せざるを得ないから。
どうして景色は美しくて、人生はこの景色のようには満たされていないのかと思ってしまうから。
頑張らない未来
頑張り続ける未来を考えると辛い。
メンタルが疲れている時は特にそう思う。
頑張り続けることでいい汗をかくのって悪くないよねって、元気がいい時は思えるのかもしれないし、頑張るっていってもちょっと頑張るくらいでいいんじゃないかなとかバランスの取れたことを考えられて、普通は別にここから続いていく労働人生について悲観的になることはない。
でも疲れていたら、今の地獄がずっと続くわけだから、頑張り続ける未来を想像したくない。
別に忙しくなくても、心が疲れている時は、一つ一つの動作があまりに重くて、地面にくっついているんじゃないかと思う。
そんな重い石を何個も運ぶことなんてできないから、頑張る未来は地獄に映る。
そんな時はやっぱり、少しずつ頑張らないようにする。
空の景色を見ても何も思わないようにする。
瞑想したり、自分を肯定しまくったりする。
スマホをやめてみたりする。
一つ一つを無責任にしていく。
いろんな仕事をサボっていく。
心の隙間を作っていく。
夜寝られるようにしていく。
退屈を愛していく。
空など見なくても
今日は早く起きてみる。
布団から起きてカーテンを開ければ、空など見なくても晴れているのがわかる。
さっきまで眠かったけど、お湯を沸かしにシンクに行ってみたらなんだか起きられそうな気がしてくる。
エアコンの音と僕の歩く音だけが部屋にはあって、そろそろぐつぐつとお湯が沸く音が追加されていく。
布団に戻ってみて、寝てみてもいいし、起きてみてもいい。
置いてある本に手を伸ばしてみて、眠気を待つ。
そんな時間は8時間と持たない。
起き上がると、向き合うものが現れて、無音の生活が思考の音で満たされていく。
スマホを見ると、Twitterを見ると、音は出ていないのに、無音が気にならない。
スマホを我慢してみると、音がないことが気になって、またスマホを触ろうとする。
無音になれると、人生が毛布のように甘くなってきて、刺激に喜んで、街をうるさがって、本も静かにうるさくて、午後の紅茶は思ったより暖かい。
無音になれると、無音はなくなって、思考の音が気がつくと退屈を洗い流してしまう。
またどこかに退屈の影を追いながら。
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