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結局、腹式呼吸って何?

【ボイトレ話】

2年程、機能解剖学やイタリアの先生から学んで感じたのは「腹式呼吸の誤解」でした。

中学生や高校生に「腹式呼吸ってどこに息が入る?」と質問すると
「おなか!」と大半の子達が答えます

「おなかに息はいる人は病院にいってねー」

これが大体初めましての定番の会話です(笑)

当たり前ですが、息は「肺」にしか入りません。でも、この「腹式」という言葉がそもそも誤解を生んでいる原因の1つでもあると思っています・・・

そして
腹式呼吸=おなかを膨らませる
という間違った解釈が一般的なことも大変危険だと感じます。

少なくとも「膨らませる」ではなく「膨らむ」ならまだしも・・・・
いや、それでもやっぱり違いますが・・・

歌う時の呼吸は確かに日常との呼吸とは違いがあります。
特に大きな違いは横隔膜のコントロールが必要になるということでしょう。

この横隔膜も「何十センチもさがる」みたいな認識が「おなかを膨らませる」誤解を生んでる1つでもあるわけですが・・・

横隔膜は、数センチ(2cm~3cm)しか下がらないと言われています。しかし、その数センチが息の量をコントロールする上ではとても重要になります。

wikipediaより借用

肺は横隔膜と薄い膜によってくっついているので、横隔膜が下がった状態をキープすることで肺が広がったままの状態を保つことができます。そうすることで、出ていく空気の量を調整することができるのです。

そして、その横隔膜は自分で動くことができないのです。

その周りの筋肉がサポートしてくれているわけですね。
その筋肉というのが、主に「腹筋」と呼ばれるものたちです。
よく「腹筋使って」とか「腹筋トレーニング」とかを入れるのはそういうわけです。

腹筋と一言に行っても1つではありません。
横隔膜の働きに必要なのは「腹斜筋」「腹横筋」この2つが中心です。

因みに通常の腹筋トレーニングで鍛えられるのは腹直筋です。腹斜筋や腹横筋の鍛え方は腹筋トレーニングとはまた違います・・・💦

そして、腹筋群の一番土台になっているのが恥骨です。
息をコントロールする時は「おなか」を意識するのではなく、本来恥骨(そして骨盤底筋群)を意識することが大事なのです。それが腹斜筋や腹横筋を使うことに繋がって、横隔膜のコントロールに繋がり、吐き出す息の量を調整することができます。

では、なぜ「おなかを膨らませる」ことになったのか・・・

わかりやすいから・・・ですかね。
腹斜筋や腹横筋、横隔膜・・・は目には見えませんよね。
でもおなかは見える。「おなかが動いたら正解」みたいにしておけば、わかりやすいかな?みたいな感じなのでしょうか・・・・

実際に動くのは、おなかではなく胸郭です。肺が広がり、その周りの骨や筋肉も動きます。寧ろその動きを柔軟にできるようにする必要があります。でもそこだけ意識すると、横隔膜のコントロールの意識がなくなってしまうので、下まで意識することが必要・・・・

色々なことを考えないといけませんね!

おなかは確かに腹圧で張る部分はあります。みぞおちの部分は、横隔膜の中心になりますので、そこも膨らみます。

でも「膨らます」のではないのです。
結果「膨らむ」が正解なんです。

膨らます・・・となると、不必要な筋肉が使われます。そうすると声を出す時に、不必要な力みが発生するのです。

歌う時には筋肉を使います。でも、その筋肉は「必要な筋肉」を使わないといけません。
どの筋肉を使えばいいのか・・・は、自分ではなかなか判断できないので、知識をもったボイストレーナーにぜひ学んでください♪

声楽教室sfida


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