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【閉店】首里あやぐ食堂

また一つ、名店の明かりが消えました。
首里にあるあやぐ食堂。あやぐとは美しいという意味。宮古の言葉のようです。
本島ではちゅら(美ら)、と言いますね。

沖縄に行き始めた頃、中味汁にハマった時期がありました。
中味汁とは豚のモツを煮こぼしては小麦粉で揉み洗いし、また煮るを繰り返して処理したものを干し椎茸やこんにゃくと煮る、おすましのような汁物です。
モツを丁寧に処理しなくては臭みがひどくなってしまう、とても手間のかかる料理でもあります。
主にお祝い事で食される、伝統料理です。

こちらが中身汁です

いくつかの食堂を渡り歩いた結果、あやぐ食堂の中身汁がいちばん美味しく、場所も那覇で手軽に食べに行けたため、それ以来は旅行中に時間を見つけては通っていました。

てんやわんやの中、持ち帰りの電話&オーダーも入る
温かくも淋しい閉店のメッセージ

大好きなあやぐ食堂が10月で閉店することをわたしはSNSや沖縄タイムスの記事で知りました。
10月は首里城が焼失したこともあり…また10月か。と訳もなくセンチメンタルになったりもして……いられません!
今すぐ、沖縄へ!!あやぐ食堂へーーーー!!

今回の滞在では首里へ行く用事が2回あったので、あやぐ食堂にもその都度行くことができました。
いま、目の前にあるものが、来月はなくなってしまう。おいしいものはたくさんあるのだけど、この味は、いまここにしかないんだな…なんて少し感傷的になりながらもおいしくて箸が止まりませんでした。

あぁ、この一杯。なんておいしく、美しい。ありがとうございます、という気持ちが自然と湧き上がってきました。

レジに向かうと店員さん達は、忙しいながらも目を合わせてありがとうございました、と声をかけてくださいました。
決して常連ではなかったけど、15年程通った店です。視界がグラリと揺れました。
いつもは「また来てくださいねー」と送り出されていたな、と思い出しつつ、生まれ育った訳でもないこの土地で、ノスタルジックを感じさせてくれたあやぐ食堂に改めて深く深く感謝たのです。

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