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拝啓國吉清尚様

こんばんは。お読み頂きありがとうございます。

皆様、陶芸品にご興味お持ちですか?それともお酒好きでしょうか?

國吉清尚、沖縄の陶芸家である。
残念ながらお亡くなりになっているため、お会いすることはできない。
知り合いが彼の親戚にあたるとの縁で初めて彼の作品を知った。

それまで沖縄陶芸(沖縄ではやちむん、とよばれている)を遠ざけてきた。
ハマるとそこはかとない散財をしてしまう自信があるからだ。
一時は沖縄の古書にハマり、あり得ないボロボロペラペラの美術館が出した特別展のパンフレットに二千円払った。
3万近くする本を喜々として購入したこともある。

そのような凡人がやちむんにハマってはいけない。
特に國吉清尚さんはお亡くなりになっており、出回る作品が少ない上、市場価格も上がっている。
先程もメルカリが「國吉清尚の新しい商品がUPされました」とささやいてきた。
価格を見ると5万円ほど。ちょっといいなと思う作品は余裕で10万円超えなので「買えるかも……」と心が動く。
いやいや、待とう。5万円。那覇への往復航空券+αだぞ。悩んだ末、諦めた。

國吉清尚のカラカラ(徳利)とちぶぐゎー(おちょこ)
手前はナーベラー(ヘチマ)の酢味噌和え

庶民でも國吉清尚の作品で酒を嗜むことのできる店がある。那覇の壺屋にあるオニノウデという店だ。
泡盛と酒の肴を出してくれる名店だ。

國吉清尚の作品で時雨を嗜むひと時がわたしの最近の楽しみ。
時雨は識名酒造で造られている泡盛で、識名酒造は友人の親戚がやっている。首里三箇といって、琉球王国時代に泡盛の製造を許可されていた地域に今も所在する由緒ある酒造所なのだ。

オニノウデで初めて國吉清尚の作品を手に取って以来、すっかり虜になってしまった。
陶器の微妙な歪みや色合い、焼締めというザラリとした手触り、どれを取っても素人のわたしでさえも「すごいな」と飽きることなく眺めてしまうのだ。

また全ての酒器が手に馴染む。この感触がたまらない。
オニノウデで過ごすひと時、この酒器はわたしの相棒になる。
しっくり手に馴染む器を何度も手に取り、くるくる角度を変えては眺める。
お会いしたことのない國吉清尚さんとの繋がりを探るかのように。
こんなにいつまでも、いつまでも手に取り眺め回したくなる酒器は初めてだ。

オニノウデにはこの半年足らずでもう5回は足を運んでいる。
その度にひたすら國吉清尚の酒器を手にしては惚れ惚れしている。

國吉清尚さん、この上ない酒時間を与えてもらっています。いつか我が家にお迎えしますので、それまではオニノウデでお会いしましょう。

沖縄のやちむん、好きですよという読者の方がいらっしゃいましたら是非オニノウデへ足を運んでみてください。泡盛に慣れていない方でも楽しめる敷居が低く、奥の深いイチオシのお店です。


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