【沖縄ことば】あたいぐゎは小さな宝箱
「あたいぐゎ」ってなーんだ?
家の片隅に小さな畑を作り、自分達が食べる分ほどの野菜を育てる。
この小さな家庭菜園を沖縄では“あたいぐゎ”と呼んでいる。
全く意味の予想がつかない単語であるが、調べてみるとどうやら「あたい」が菜園にあたり、「ぐゎ」が「小さい」を意味するようだ。
私はてっきり「あたい」は「私」を意味するのとばかり思ったが、どうやら違うらしい。
「ぐゎ」は桑の一種でもない。
「ぐゎ」に関しては、もしかしたらピンと来る方もいるかもしれない。
「だからよ〜」ほどメジャーではないが、比較的沖縄ことばで頻出する。
「ぐゎ」を漢字にすると「小」になる。
AI先生はいつも的確だ
自然に「ぐゎ」を使いたい
私はこの「ぐゎ」をマスターしたいと数年前からトライし続けている。
以前、沖縄を訪れた時に年配の女性2人が「風ぐゎー吹いているね。」「気持ちいいさー。」と言っているのを聞いたことがある。
友人の家へ遊びに行った時に、パンを土産にしたら「まちぐゎーで買ってきたの?」と聞かれた。
まちぐゎーは商店街や市場を意味する。
こんな感じで、「ぐゎ」は沖縄に溶け込んでいる。
私もみんなのように「ぐゎ」が自然と口から出てくるようになりたい。
なんで?
と言われそうだが、ネイティブ英語を目指すのと同じだね、と寛大に読み過ごしてもらいたい。
とにかく日常会話に「ぐゎ」を入れ込みたいのだ。
「ぐゎ」が身に付かない理由
なぜ「ぐゎ」をつけ忘れるのか。
個人的な見解では「付けなくても意味が通じるから」だと考えている。
「飴ちゃん食べる?」も「飴食べる?」で通用するし、「風ぐゎー吹いてるね」も「風が吹いてるね」で十分通用する。
お陰様で苦戦中だ。
しかも「ぐゎ」は発音も難しい。
使わなきゃ!と意気込んで、気合を入れた発音をしてしまうと、技を食らった奴の雄叫びになってしまう。
「ぐゎ」発音ポイント
耳による調査の結果、ぐゎは独立させてはならないことがわかった。
例えば「小鳥ぐゎ」。
「小鳥ちゃん」と愛着を込めて発される言葉だ。
発するときは「小鳥・ぐゎー」と分けてはならない。
限りなく「小鳥がー」という体で「がー」の部分をさり気なく「ぐゎー」にするのだ。
「ほら、あそこに小鳥ぐゎーがいるよ。かわいいねぇ」。Yes,something like that.そうそう、そんな感じ。
昨日、那覇の友人と電話で話していた時に「ぐゎー」チャンスがやってきた。
友人が「読谷に住むばあちゃんが、野菜をたくさんくれた」と話した時に、私は早速「あたいぐゎーで作ったやつ?」と返事をした。
ところが……
返ってきた返事は「何?それ。」
みんな知ってて、使ってると思ってたよ……。
「あたいぐゎー」について説明したが、友人は知らなかった。
那覇の出身だから?都会っ子だから??
別の機会に本人が「私は方言がよくわからない」と言っていた。
他の友人にも「あんたは方言話さないから」と言われていた。
確かに、他のエリアで生まれ育った友人に比べると方言を話さない。
渾身の「あたいぐゎ」は宙に浮き、ひらひらと夜空へ消えていったとさ。