見出し画像

【人生の激震度4】見知らぬ人に昼飯を食べに来ないかと誘われる

私、長年ペーパードライバーです。
公共交通網が発達しているとは言えない沖縄でも、がんばってバス移動しています。

これは那覇から伊計島まで行った時のお話。
伊計島はそこそこ離れた場所に位置しています。

西から東へ横断する感じです

那覇バスターミナルからうるま市に向かいます。
目指すは95番目のバス停「JA与那城前」。
着く頃にはかなり、グッタリします。

目的地の伊計島は離島ですが、橋がかかっており本島とつながっています。

次に乗り込んだバスは伊計屋慶名線。漢字だらけですね。いけいやけなせんと読みます。
伊計島と屋慶名(沖縄本島・うるま市)を結ぶバス路線です。
本島から架かる橋を渡っていくバスです。

ここまで来るとバスもマイクロになり、ローカルのにおいがしてきます。

乗客も高齢の方が多く、お互いに顔見知りの様子。乗り込むなり挨拶や会話が始まります。
言葉の感じから地元に住む方のようです。

そうなると……ひとり座る違和感満載の中年女にチラチラ視線が送られてきます。ビンビン来てます、好奇のオーラ。

やがて、ひとりの女性が切り込んできました。
「あんた、どっからきたのー?」

3つの回答が脳内をグルグルします。
①今日は那覇から
②普段は千葉県に住んでます
③千葉知らないと面倒なので、東京から来ました

長年の傾向と対策から年配者には簡潔明瞭な返答が第一と学習しました。
選んだ答えは「東京から来ました」。

私の返事にコミュニティバスの車内がにわか華やぎます。
「内地から来たってよ」
「どこまで行くの?」
なんだか微笑ましいなと心和んでいると

「あんた、昼ごはん食べに来るね?」


ご、ご婦人いま何と?
見も知らぬ、出会ったばかりの観光客を我が家の食卓に招く。
心の垣根があまりに低い!

40ン年間積み上げてきた思考と観念が一瞬で吹き飛びました。
こんなことってあるんだ!!

沖縄に住む年配者と交流が少ない私にとっては願ってもないチャンスです。
わかっていても、現実は……「はい!」と言う勇気がなかったですね。

那覇に戻って、いつも行く店でこの話をすると大盛り上がりでした。
「今でもそんなおばぁいるんだ」
「ウケる」
「ありえん〜」

友人のひとりが
「それ、うちのおばぁもやってた」
と懐かしみます。

子どもの頃、夕飯の食卓につくと見知らぬ青年が座っていたそうです。
誰なのか聞くと
「内地の学生がバス停でお腹すかせてたから連れて帰って来た」
と答えたのだとか。

私が生まれ育った香川県は四国八十八ヶ所、巡礼の地です。
お遍路さんと呼ばれる巡礼する方が歩いていると、住民はお菓子や果物を手渡します。
「お接待」と呼ばれる習慣です。細々ながらも、今尚残っています。

そういうお土地柄、道行く人にお菓子や飲み物を手渡すことに抵抗は感じません。但し四国限定ですが。

「お昼ごはん食べに来る?」は、その上の上を行く経験でした。
積み上げてきたカルチャーに激震走った経験。
現在も、この激震記録は更新されていません。

あの時、お昼ごはん食べに行けばよかったな……なんて今でも思ったりします。
その後、どこへ行っても「お昼ごはん食べに来る?」と見知らぬ人に誘われたことがないので。

実際に食べに行ってみたよ、という方のお話が聞いてみたいです。

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?