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#43 - 下北沢という街――Strip Jointを通じて

 はじめましての方も多いやもしれないので自己紹介をば。Kei Hiraoと申します。山口は宇部から上京してこの4月から6年目になります。大学生活をきっかけにStrip Jointのメンバーと知り合い、古着屋をやったりしながら生きてきました。長々と学生生活を送ったぶんだけ、様々な思い出はときに形を変えながらも残っていくものです。それが本稿を執筆する縁をもたらしてくれることもあれば、古傷から刺すような痛みがぶり返すような歯がゆさを甘受せねばならないこともあります。そんなどこにでもいる若者の、山積した記憶の一部を、Strip Jointを通じて少し共有できればな、と思いながら着手しました。よしなに。

下北沢――覗きたくない鏡

 古着屋、喫茶店、若者――下北沢にそんな”エモ”の香りが否応もなく染み付いてきたのはいつからだっただろうか。少なくとも私が上京してきたときには、今ほどではないにせよその片鱗は見えていたと思う。自分が大なり小なり経験してきたサブカルチャーが、「若者」のラベリングを通じてステレオティピックにパッケージングされることにどこか嫌悪感を感じつつ、忌避している自分の姿をどこか遠くから見つめなおしたときに、自分もまたそのステレオタイプの桎梏にうちとめられているのではないか、といった、歯痒い気恥ずかしさを覚えるのは何も私だけではないだろう。ある意味で、私にとって下北沢という街は、鏡のような存在であった。消費される"エモ”と、偏愛する文化の「エモ」。その2つの、嫌悪と好感のエモが反響する時空が、下北沢という街のイメージである。

トロワ・シャンブルに初めて行ったときのもの。面倒くさくなって使わなくなったZIPPO。

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