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おバカなノンパンやーい!マカピーな日々#0478

マカピーです。


カンボジアに滞在していた頃、一時期マカピーの家には3匹の犬がいました。

フィリピン生まれの雑種ハロハロとネパールから加わったジャーマンシェパードのマナがいたのに、ある日警備員が「かわいいだろう」って勝手に連れてきた仔犬は黒光りしていました。

最初はその光沢に「ウナギイヌ」と呼んでいたのですが、マカピーはどうにもおバカさんなので「ノンパン」という名前を与えたんです。

ノンパンとはカンボジアで売られている「フランスパン」のことです!
見事に膨らんでいて中身がスカスカ状態なので、これにアイスクリームを包むウエハースの代用として使うこともあるし、「ノンパン・サチ」と言ってベトナムのバインミーと同じようなソーセージとパパイヤのサラダを挟んだサンドイッチにしても、パテをつけても美味しいのでした!

他の二頭の先輩たちとは比べようがないほど、数々の失敗を繰り返すので頭がスカスカという事でいたずらにノンパンとマカピーが命名したのですが、もっとまともな名前を付けてあげればよかったって思うのでした。

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ある日の夕方のことです、ノンパンの姿が見えないとお手伝いさんが報告に来たのでした。彼女が夕方に犬達に食事を与えたのに、その後でノンパンが見当たらないというのです。

ノンパンは粗相が治らないので、一匹だけ戸外で飼われていたのでした。(といっても花壇以外はすべてタイル張りの敷地。他の2頭はちゃんと便意を伝えてくれるのでした)

マカピーは当番警備員に尋ねましたが「見ていない」と答えるのです。しかしこの警備員こそが数か月前「ノンパン」を家に連れてきたのでした。

警備員と言っても、実際は本物の警察官です。

当時、プノンペンで一軒家に住む場合は治安対策で24時間警備員を配置する事が求められていたので仕方なく4名雇いローテーションを組んでいました。

つまり彼らは内務省管轄で、ポルポト時代の遺物と思われるようなボロのM16自動小銃を持って警護していましたが、ただ車庫の隣で寝ているのが実情でした。

「さっきまでいたノンパンが消えているのに、門番の貴方が知らない訳はないよね、だってこの通用門を開けられるのはあなた達以外にいないのだから」と詰め寄りしばらくするとこの警官が「犬さらい」に売ったことが分かりました!

つまり、この男は仔犬をマカピー家族に育てさせ大きくなったところで「犬肉」を買い取る仲買人に売るという計画的犯行だったのでした。

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マカピーは翌朝ドライバーさんに頼んでノンパンを探しに、プノンペンの犬肉市場のある地区に連れて行ってもらいました。

ベトナム系の住人は犬肉が好きなので需要があるとは聞いていましたが、まさか自分がそんな場所を訪れることになるとは思いもよりませんでした。

車を降りて「ノンパーン!」と叫びながら探し回りました。もしかして反応して吠えるかも知れないから・・・。でも反応はありませんでした。

すると得体のしれない肉塊を詰めた大きなプラスチック袋を乗せたバイクがかたわらを通り過ぎて行くではないですか!

更に空っぽの犬市場といわれる場所でドライバーさんに尋ねてもらったのですが「毎日新鮮なうちに処分しているから生きているのはいないよ!」との事でした。

マカピーはなんとも不憫な「ノンパン」の短かった運命に涙しながら帰宅しました。

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そして、契約している内務省側にこの警官の悪行を報告し、即刻配置リストから外してもらいました。

ところが数か月後、家に空き巣が入った際に現場検証に立ち会った警官の中に彼がいました。

マカピー妻はそれに気づいて「この男だけは、絶対我が家の敷地に入れないで!」と叫んだので彼もヤバいと思ったのか直ぐに姿を消しました。

おバカさんだったノンパンも我が家の一員だったのに!何てひどいことするんだよー!

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。貧すれば鈍するのが人情でしょうか?


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