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そのヘルメット必要? マカピーな日々#0778

マカピーです。
為末大さんがマカピーの写真を使っていただきました。この斜張橋はベトナム中部の都市ダナンにあるんです!

で、投稿内容にヘルメットの事があったので、為末さんにコメントしたのでした。

それはこの斜張橋のあるダナンへ、首都ハノイからの出張フライトでの経験でした。

ベトナム航空をはじめVetJet Air他の航空会社が頻繁に国内線フライトを繰り出している理由はベトナムの地形にあります。

「S」の字型に南北に2000㎞程ある長い国で、更にダナン近くで国土の幅が40㎞足らずになる場所もあり御隣のラオスと国境を接しています。北部は中国、そして南部ではカンボジアと接してますが、道路網の整備が追い付いていません。

特に国土のほとんどが山岳地帯と代表的な平野部は北部の紅河デルタ(ハノイから河口の港町ハイホン方面の平野部、そしてメコン河がつくるメコンデルタが有名で、ダナンあたりでは平野部が殆どない地形となっています。

べトマムでは山が海にせり出ているような地形が多いので、鉄道も道路も急峻な崖を切り開いた幹線に頼るのでかなりスリルがあります。

日本の援助で新幹線タイプの高速鉄道をハノイ=ホーチミン間をつなぐ構想もありましたが、殆どがトンネルとなるためコストが高すぎて断念しています。

この山岳地帯に雨季そして台風のころになるととんでもない雨が国土を襲うのです。常に土砂災害との闘いに臨んでいいる国といえば日本も同じですね。

実はマカピーの携わった仕事は、この幹線道路などで発生する地滑りのメカニズムを研究し、それを早期警戒につなげるプロジェクトでした。

その観測現場が、ダナン市北部にある「ハイバン峠」だったのです。ベトナムがかつては南北に分かれていたころ、国境はそれよりも北部にありましたが地形的にはこのハイバン峠が南北を分けている「箱根の関」のような存在です。

ハイバン峠とは「海と雲」の意味で東シナ海から吹き付ける海風が一気に山岳地帯を駆け上がりながら雲が発生するのでした。


日本の援助で国道一号線の「ハイバン・トンネル」ができるまで、この道路はハイバン峠を蛇行していて、頻繁に発生する濃霧で衝突や転落事故が止まない「死の峠」だったのです。(いまでも畜産のトラックや燃料タンクローリーはトンネル走行が禁じられていて、旧道を使ってます)


そして国鉄もフランスが敷設した鉄道をもとに運営されています。夜行寝台列車で29時間というのがハノイ=サイゴン(ホーチミン市の旧名ですが、駅名はサイゴンのままです)の営業時間です。

これじゃあ、飛行機で行きたいですよね!
ハノイ=ダナン間がその半分の距離だとしても飛行機で1時間で行けるダナンへわざわざ鉄道を利用したいと思いませんでした。

いや、正直言いますと、一度は経験として鉄道を利用してみたかったです。

トリビアな話となりますが、このハイバン峠の麓にベトナム国鉄の「ハイバン駅」があるんです。ベトナム人でもほとんど知る人がいませんけど。

誰も知らない理由はハイバン駅では乗客の昇降は一切ないからです。
ここは単線鉄道なので引き込み線があり上下の列車の待合いが行われるだけなんです。

マカピー達の仕事の現場はこの駅裏の山にありました。
そこの地形は地すべりを起こした形跡があり、近年に崩壊した後で蛇篭(ガビオン)を組んでいますが、それもずれ始めているので地すべりが進行しているのがわかっていたんです。

じゃあ、どのくらいの雨が降ると地すべりが発生するのか、その挙動を調査するためにこの斜面にワイヤー線を張って土地の伸縮を調べる「引っ張り計」、斜面に100メートルほどの深井戸を掘って地形を調べるとともに、地すべり面の上と下どれだけズレたかを調べる「傾斜計」、多くの観測場所を24時間体制で、位置測定をするトータルステーションでの計測、そして気象観測を行いました。

ベトナムでも時々地震はありますが、日本のような大規模なものはほとんどありませんから、殆どの地すべりは「雨」によって引き起こされるといえるで、どれだけの雨量が地すべりの引き金を引くのかを観測したわけです。

といっても、24時間体制で一時間ごとの情報がハイバン峠から電話回線でハノイの研究所に飛ばされるのですが、長雨が続いたり条件が整うことは殆どないのでマカピーの滞在期間では地すべりは発生しませんでした。

この計測地での設備設置や観測小屋建設などに関わっていたのでマカピーは毎月出張を繰り返していたというのは理解いただけたでしょう。

さて前置きが長すぎました!ようやく本題に入ります。

ある日のダナン出張でのフライトで奇妙な光景に出会ったのです。それはおじさん二人が通路側の前後の席に座っていたのですが頭にヘルメットをしているのでした。

離着時にも関わらず、子供が通路を走り回っても注意しない親がいて乗務員はかなりストレスフルな業務をこなしていましたが、ちんまりと行儀よく座っているヘルメットおじさんに対しては何も言わなかったのです。

周囲の人もそれに対して特に話題にしていませんでしたが、マカピーには二人の様子がどうにも可笑しくてたまりませんでした。

まるで、初めて飛行機に乗ったおっちゃん二人が怖くてたまらないのでヘルメットをして乗り込んでいたのだと思ったのでした。

ダナンに到着すると、ヘルメットおじさんは何事もなかったかのように国内線到着ロビーを通りすぎて、オートバイタクシーに乗って立ち去ったのでした!

そうか、二人はセオム(後ろから抱きかかえるので、二人乗りのバイクタクシーをそう呼ぶのでした)で移動していたので、そのままヘルメットをかぶっていたというわけです。

もちろんフルフェースではなく、おわん型のヘルメットでしたけど。もしかしたら国際線だったら無理だったかも!?

その後、ヘルメットをかぶった乗客を見たためしがありませんもの。

マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。航空乗客のヘルメットの規約ってあるのかしら?



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