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想起しちゃった! マカピーの日々 #1438

マカピーです。
ローローさんの記事を読んでいてフッと思い出したことがあります。

それにしても彼女のトマス・クックのお話はとっても面白いです。
そして、マカピーも一年余りヨルダンに住んでいたし出張で隣国?イスラエルを訪ねたこともあります。

ついでにウズベキスタン共和国にいた頃のイスラエル大使だった友人夫妻もいたのでエルサレム市内で再会を果たすことが出来たのは彼らの次男とマカピー次男が親友だったからです。

今回のローローさんの「ドイツ皇帝のエルサレム入城」記事を読んでいて何か心動くものがありました。

「ドイツ」という単語で思い出したのは、マカピーが滞在していた頃のアンマン市内の鯉料理屋さんでした。

マカピー同僚のチャーさんはシリヤやエジプトで漁業指導した養殖の専門家で「マカピーさん、この鯉はドイツ鯉です。そして店のオーナーはイラク人って聞いてます」と教えてくれました。

どうやらチャーさんによるとチグリスユーフラテス川流域にはドイツ鯉が養殖された歴史があり「鯉料理」が有名になったとの事でした。

庭でもパイナップルが出来ちゃうんだ!

店内では生け簀に泳いでいる鯉を指して「あれ、頂戴ね」というとサッと網ですくいあげ、計りにかけて計量しバッサリと開きにするとバーベキュー用の網にはさんで大きな窯で焼くのでした。

焚き木をボンボン放り込み、その火が強すぎると、ホースで水をかけて火力調整しながら鯉を焼き隣では大きなパン(洗面器のような大きさのナン)もこの店でどんどん焼いているので一緒に食べます。

このシンプルな鯉料理ですが、信じられないくらい美味しいのです。

しかもドイツ鯉にはあの日本の鯉特有の細かい骨が少ないのです。

日本でもああして食べればいいのに!って思ったくらいです。

さてその後、死海南部の仕事場に行く道路(死海道路)際で新たな養殖池が出来たのでチャーさんと一緒に立ち寄って見ました。

まだ生け簀用シートを張ったばかりでしたが、「これから鯉料理の店を出す」というオーナーと話しました。

そういえばアンマンのお店もあったなあと話すと、「ああ、街中の鯉料理屋もボクの知り合いだよ」と言ってました。

更には「ボクはサダムフセイン大統領の親衛隊だったんで帰国すると命がないから、家族とヨルダンに逃げて来たんだ」とも。

数奇な運命で緩衝国(バッファー・ステイト)にいろんな人が住んでいるのでした。

ザクロだってありますよ!

そういえば、チャーさんが死海近くの村で養殖を指導していたのはティラピアという魚です。

この魚の原種はナイル川とヨルダン川あたりの地域らしいです。

それでヨルダン川の上流部にあるガレリア湖あたりで漁師をしていたペテロ達がこの魚の漁師ていたらしく、後にイエス・キリストの使徒となったのでクリスチャンにとっては特別な魚だとも。

確かに普通に用水路にも沢山ティラピアの在来種は泳いでいます。

多少水質が悪くても生きられるタフな魚ですが、寒さには弱く越冬には気を付ける必要があります。

それから、夏場となり水温が上がるとメスが体の大きさに関係なく産卵をしてしまうのでどんどんメダカみたいな小さな個体ばかりになってしまうんですね。

戦後、日本と皇室外交で仲の良かったヨルダンあたりからこの魚が日本に輸入されました。

肉質は鯛に似ていて美味しいので「イズミダイ」の名前で淡水で飼育したのですがそもそも日本は島国でよい漁場に恵まれている事から、淡水魚としてはマスのように流行しなかったようです。

ただ、雪国の温泉地などでもその風呂の排水でも育てられるというので飼育しているところがありました。

(学生時代北海道の大雪山麓にある勇駒別(ゆこまんべつ)温泉でティラピアを見たことがあります)


こちらはシャカトウ(釈迦の頭)です

それから今でも温暖な九州や沖縄地方の川でも野生化したティラピアがいるそうです。

ところがこのティラピアは更に皇室外交を通じてタイ王室に送られ内水面漁業(つまり淡水漁業)の花形としてデビューするのでした。

それまでイサンと呼ばれる内陸部の東北タイは貧しい地域でした。

導入されると、これまで地域で入手できる雷魚などに比べて格段に美味しい肉質のティラピアは海から遠い内陸部の人にとって欠かすことの出来ない淡白資源となったのでした。

そしてこの波はフィリピンでも同じで、先日行ったルソン島北部の市場でもティラピアは美味しく焼かれて売られていました。

もっとも、この魚の卵はホルモン処理して全個体「オス」にしてしまうのだそうです。

それは先ほど説明したように、メスがいると産卵する生殖成長に無駄な?エネルギーを使い大きくならないからです。

逆の話ですが、皆さんが食べる豚などもオスだと離乳してしばらくすると去勢して肥育効率が良くするのと同じ事なんですね。(半年で110㎏まで増体させるのが一般的な養豚です)


ヤシの一種の花です。可憐でしょう?

それが経済動物の悲しき運命でもありますが、こうして中東方面のティラピアもドイツ鯉も数奇な運命で思わぬ場所で繁殖することになったのでした。

マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。ローローさん、記事のヒントをありがとう!(笑)


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