臨時クリニックに行かなくても マカピーの日々 ♯1564
マカピーです。
行く予定だったイフガオの臨時クリニックには行きませんでした。
レンからは朝から「患者さんが集まっています」とのメッセージがあったのです。
行けなくなった理由の一つは朝5時半からハリー叔父宅に患者さんが来てしまってお昼まで絶えなかった事
もう一つは処方する薬が尽きてしまったからです。
近隣の町の薬局を回るのですが、輸液(0.9%生理食塩水)は基本的なもので病院では使われているのに市中にはなかなか出回らないのでマニラの供給元に直接注文したのです。
もちろん、その他の必須薬品と共に同時に依頼したんです。
ハナさんは通常クーリエよりも長距離バスでの配達が早いので依頼したので、お昼にその事務所に行くと一つの箱が送り届けられていました。
とても重く輸液セットであることが分かります。
「あれ、これだけかしら。他の薬が見当たらないわね」
500mlボトルが48本とそのセットですから25㎏もある段ボール箱です。
一度バイクに乗せてハナさんとの間にはさんで運べるか検討しましたが、バランスが悪く走行が危なそうです。
安全を重視して、近くにいたトライシクル(側車付オートバイ)に頼んで運んでもらう事にしたんです。
一度ハリー叔父宅に戻って中身を確認してみると、やはり輸液セット以外の薬品は入っていませんでしたのでした。
ハナさんは早速注文先に電話連絡しました。
「え、薬は一緒に送らないで別のクーリエで送ったの?バスで輸液と一緒に送れば一回で済むじゃないの!」
電話を終えてハナさんは首を振って「何でこうなるの?」と浮かぬ顔です。
「じゃあ、イフガオの臨時クリニックに行くの?」
「うーん。それは無理よ。どうしても薬が足りないわ」
「じゃあ、レンに言って患者さんに帰ってもらいましょう」
「うん伝えるわ」
それでマカピーは朝のうちに洗濯して干した洗濯物を取り込んだり、延長コードを作ったりしていたんです。
すると、車が数台ハリー叔父宅に入って来るのが分かりました。
すると、レンが顔を出したのです。
「コムスタ!え、どうして?」
「多くの患者さんに帰ってもらったんだけど、せっかく待ったのだからどうしても診察を受けた言っていう人がハリー叔父宅にドクターがいるからって押し掛けて来ちゃったのよ!」
「アララ」
部屋の中の片づけをしていたハナさんは、苦笑いしながら当然のように作業を中断して患者さんたちに対応するのでした。
結局のところ、ハリー叔父宅で一日中診察をしているようなハナさんでした。
そんな患者さんの中に行政の事が分かる女性がいました。
彼女の旦那さんが娘さんと一緒に昨日来て治療を受けていたのですが、思いのほか調子がいいので今日は奥さんが一緒で彼女自身もブローの治療を受けることになったのです。
彼はイフガオ出身でしたが、家族と一緒にマニラで会計士として働いていたのですが病気に倒れ体の麻痺が残ってしまったのでイフガオに戻って来たのだそうです。
マカピーが旦那さんのブローを担当している間に、奥さんとハナさんが熱心に話し込んでいました。
ハナさんが会社登録している証明書などの書類も引っ張り出してきて、盛んに話をしているのでした。
一体どうしたのかというと、彼女がある市長に持ち掛けて病院を作ったらどうかという話になったのだそうです。
「え、病院?」
「だって地域住民が望む医療をしてくれるんだから、オートバイに乗って行くのよりもちゃんとした施設でやってもらった方が良いでしょう?」
「そこって今のイフガオの臨時クリニックよりもみんなが来やすい場所なの?」
「そう、地域の中心的な町だから病院があるとみんな集まりやすいのよ」
「まあ、どうなるか分からないけどね。提案してみて市長と組んで病院をやるって言うのもありかっていうところよ」
「ナルホド」
話が意外な方向に進んでいるのかしら?
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