ジャニーズ事務所もCM契約解除した企業もマスメディアも全部ダメダメ日本

故ジャニー喜多川氏の性加害問題は、かつての日本のようにスルーされることなく、ここまで問題として取り上げられたことには多少の希望を感じたけれども、その後の展開を見ていると、なんか結局グダグダのままになっていて、何が問題なのかという本質に向き合うことができない日本の現状を炙り出しているだけのように見える。
 
問題は、性加害を知りながら目をつぶってきた全ての関係者にあるのではないのか。 今は芸能界やマスコミが主に槍玉に上がっているけれど、ひとつには、ジャニーズのタレントをCMに起用してきた企業だって、決して被害者ではない。 ジャニーズがこうなってから、もっともらしくコンプライアンスを持ち出して、CM契約を打ち切ると発表した企業の面々。 確かに過去のジャニーズ氏が行ってきたことは犯罪であるし、それを放置してきたジャニーズ事務所も同罪であるけれども、その事務所を利用してきたほうにも契約した責任はある。
 
どこの企業だったか、契約を打ち切るという発表をしたとき、「このまま契約を続けていくと、うちもそういう会社だと思われてしまう」 というような内容のことを言っていた。 つまり、今までジャニーズ事務所のおかげで何かしらの利益を享受し、さんざんお世話になってきたにも関わらず、その自分たちの判断は棚に上げて、ただのトカゲのしっぽ切りをしているのである。
 
その上、上から目線で、「ジャニーズ事務所には再発防止策の速やかな実行と、被害者の救済をはじめとした真摯(しんし)な対応を求める」 (ジャニーズ起用せず アサヒとキリン https://www.jiji.com/jc/article?k=2023090800830)
などと発言したりしているのだ。
 
だがそれらの企業は、そんなにご立派なのだろうか。 中に入れば、正社員ばかり優遇して、契約社員やパートナー会社の人間のことは冷遇していたり、正社員でも男性社員と女性社員の扱いは明らかに違っていたりすることを、私は知っている。 いったいどの口が言っているのか、と思う。 結局は自身の保身だけではないか。
 
そもそも、一般企業のCMを有名人に頼るというのは、言われてみれば日本っぽい文化なのかもしれない。
 
日本だけ異質。ジャニタレ「CM降板」騒動で顕在化したタレント広告大国ニッポンの闇=今市太郎
https://www.mag2.com/p/money/1362083
 
【外国人の疑問】どうして日本のテレビCMは芸能人を起用するの?
https://www.madameriri.com/2013/08/25/
 
タレントを起用して広告活動を行う企業と、企業からの出演料で潤うタレント側は、いわば 「共依存」 関係にある。 どちらか一方だけを悪者にはできまい。
 
そして私が今日読んだのは、日本のマスコミは腐敗しきっている、というこちらのサイト。
 
京大教授が激怒。ジャニーズ事務所を叩く資格などない性加害問題の「主犯格」 by 『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』
https://www.mag2.com/p/news/584408
 
マスメディアがこれまでこの問題を報道してこなかったことがジャニーズ事務所と共犯であり「主犯」なのだ、とばっさり断言している。 その通りだと思う。
 
特に、

本来マスメディアは社会の自浄作用のために存在するものですが、そのマスメディアそのものが腐敗してしまった日本には、もはや自浄作用が存在してはいないのです…。

については膝を打つ思いである。 全く同感だ。
 
社会が間違った方向に進みそうになるとき、それを正すことができるのは、社会を監視する目として働く報道なのだ。 それが自浄作用だ。 報道というのは、真実を公正に伝えなければならないし、社会のあらゆる部分に目を届かせていなければならない。 社会の中の人々は、報道により自分たちの社会に起こっていることを知る。 それを受けてまた社会が動く。 報道はその社会の在りかたや存続までも左右する。 社会における報道機関の責任は重いのである。
 
そこで連想するのが、2015年にシリアで拘束されたジャーナリストの安田純平さんのケースだ。
 
シリアで拘束・解放の安田純平さん、喜びの帰国 ネットでは誹謗中傷も
https://www.afpbb.com/articles/-/3194983
 
2015年に拘束され、2018年に解放されて日本に帰国した。 この間、当時の日本政府は、「身代金は払わない」 と発言するなど、安田さんを見放したような姿勢を見せたし、マスコミや世間の人々の間では 「自己責任」 という言葉を使い、安田さん一人に責任を押し付けた形になった。
 
それはダメだ。 真実を求めて、どこへでも向かっていくというのがジャーナリストとしての性というものだ。 知りたい、自分の目で見たい、という気持ちがあってこそのジャーナリストだ。 そして、彼ら彼女らが時には命がけで持ち帰ってきてくれたこれらの情報は、もちろん日本人全員の、そしてすべての人間にとっての宝なのだ。
 
真実を知ることの大切さを、日本人は軽視しすぎている。 というより恐れているのかもしれない。
 
ジャーナリズムを腐敗させて平気でいてはいけない。 報道がどれほど重要なものか理解できれば、真のジャーナリストには敬意を払えるはずだ。 だが日本政府は、今でも安田さんのパスポート発行を拒否しているとのことだ。
 
安田純平さん「今なお拘束されているかのよう」―国、メディア、ネットに奪われた自由
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/75f616ef0cae27c4f26147b8b8a07d93d05b7603
 
 
ところで 「SMILE-UP.」 って何なんだ。 英語的にも社名としてダサすぎるし、被害者の救済をすると言っている会社が、こんな名前だなんてふざけすぎてないだろうか。
 
この社名を聞いて、被害者のかたがたは納得できるのだろうか。 さらに馬鹿にされたような気持ちにならないだろうか。 私個人は、付ける薬がないとはこのことか、という気持ちでいる。
 

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