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黒い雨と青い太陽 4話

1週間後、退院して家でユキト、マユ、アーチと4人で過ごす事にした。

母親が家に居る。母親と一緒にご飯を食べ、絵本を読んでもらい眠りにつく。普通で当たり前の事が、マユにはママが居ること それだけで何よりも嬉しくてサチにべったりだった。

アーチを早く寝かしてから、ママ、マユにこの本読んで-。と、独り占めしたがるマユ。

アーチを左に寝かせ、私を挟んで右にマユ。
ユキトは、その日によってアーチの隣か、マユの隣。
4人川の字で寝てるこの瞬間が、サチは幸せだった。

今日も一日無事に過ごせた。明日も無事に4人で仲良くすごしたい。

一日一日が凄く大事だった。

死に直面しないと一日一日が大事なんて感じたことが無い。

だれもが死と向き合うと、その日その日、何気ない出来事が大事に感じられるのだと思った。

マユに絵本を読んでると、マユは最後まで起きてられず寝てしまう。

そんな横でアーチが、プーーーっと、高い音のオナラをした。

そんな事が幸せなのだ。そんなネッペが、幸せなのだ。。。

二人を抱きしめて、ユキトにありがとう。おやすみ。と、言える日があと何日続くのだろう。



お盆の前に海に連れて行くことにした。

まだ身体に異変を感じる前までは、毎年行っていた、新潟の海。

朝4時にユキトが寝てるマユとアーチを抱きかかえ車に寝転がらせ、出発した。

海に着く直前に目を覚ましたマユが、車の窓から見えた海に興奮して、アーチを叩き起こす。


うーーーみーーーはーーーひろいーーーーなーーーおーーーきぃーーーーなーーー

と、歌いながら嬉しそうに窓を全開にして眺めている。

サチは、これが一緒に行ける最後の海、、

いや、最後の家族旅行かもしれない。。。と思った。


海では、浮き輪で楽しそうに遊ぶマユと、砂遊びに夢中な、アーチを目に焼き付けようと日傘の下で一時も目を離さず子供達を眺めていた。。。


ママ!砂に埋めてーと、マユが嬉しそうに砂の上に寝転ぶ。

埋めて砂でセクシーな身体を作ってあげた。
ユキトが写真をとってくれた。

笑顔でうつれているだろうか。。

素敵な思い出を作れているだろうか。。

サチはそんなことがいつも頭によぎっていた。。。

あっという間に二泊の旅行も終わってしまった。

夏休みに子供達に思い出を残してあげれたことに、少し満足出来たかなっと、サチは思えた。。。

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