mac999

✏️趣味で小説を書いたり、絵を書いたり、旅行も好きです。

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最近の記事

黒い雨と青い太陽 5話

⑤ 蝉の声も聞こえなくなり肌寒くなってきた11月。 海に行ったのが一年前だ。 サチはあれから1年ちょっと生きている。 けど、サチはもうすぐだという事を分かっていた。 先生に言われたより少し長く生きられたサチだけど、残されたユキトと子供の事それだけを毎日毎日思った。 ここの所、ユキトは毎日付き添ってくれていて、か細い声しか出ないサチの言葉にしっかり耳を傾ける。 「ユキト。子供達をお願いね。」毎日、この言葉を必ず口にしていた。 この日、眠りにつく事はできなかった。

    • 黒い雨と青い太陽 4話

      ④ 1週間後、退院して家でユキト、マユ、アーチと4人で過ごす事にした。 母親が家に居る。母親と一緒にご飯を食べ、絵本を読んでもらい眠りにつく。普通で当たり前の事が、マユにはママが居ること それだけで何よりも嬉しくてサチにべったりだった。 アーチを早く寝かしてから、ママ、マユにこの本読んで-。と、独り占めしたがるマユ。 アーチを左に寝かせ、私を挟んで右にマユ。 ユキトは、その日によってアーチの隣か、マユの隣。 4人川の字で寝てるこの瞬間が、サチは幸せだった。 今日も一

      • 黒い雨と青い太陽 3話

        ③ 入院し、抗がん剤治療をしていくと知ってはいたが、毛がごっそり抜ける。32歳のサチにはそれが凄くショックで、それを見るだけで頭が真っ白になった。 ユキトがウィッグを買ってきてくれ、子供たちが来るときはそれを付けた。心配をさせたくなかった。悲しむ子供たちの顔を見たくなかった。 大人が見たらすぐわかるこのヘアースタイルも、アーチはもちろん、マユもそのウィッグをなんら不思議には思っていないようで、全然気付かれはしなかった。 マユが来て、 ママぁー。もうすぐ夏休みだよー。初

        • 黒い雨と青い太陽 2話

          こんばんは✨️少しづつ続きを書いていきます。 ② サチは保育士を辞め、マユとの時間を増やした。保育園はそのまま通わせる事にしたが、お迎えも夕方4時には行って、帰りに公園で一緒にあそんだりして今まで出来なかった近くで成長を見守ることが出来るようになった。 2年経ちマユに弟が出来る。アーチと名付けられた日本人離れした、生まれつき金髪に近い彫りの深い子だ。5つ離れたアーチをマユは凄く可愛がった。サチは二人の子供に恵まれ幸せを噛みしめていたのは束の間、胃に違和感を感じ始める。

        黒い雨と青い太陽 5話

          黒い雨と青い太陽 1話

          ① ユキトと、サチは24歳で出会った。バーのカウンターで友達を待つサチエは、その友達が来れなくなった連絡を受けるとこのまま帰るのも気が重く、少し飲んで行くことにした。職場の先輩からの仕事の押し付けで気が滅入って居たので帰って母親と父親との会話が少し重たく感じて素っ気ない態度を取るのも嫌だったのだ。 はぁー。とため息を吐きながら飲んで居るとバイトの同じ年くらいの男の子が、「これ良かったら。」と、綺麗な色のカクテルを出してくれたのだ。サチは戸惑いながら「ありがとうございます。

          黒い雨と青い太陽 1話