サステナブルなモノづくり 鹿とジビエレザーのこと
地元の自然学校を主宰されている柏崎夢の森公園さんにて開催されたジビエレザーで作る鹿革の小物入れ作り体験に参加してきました。
富士山の麓で駆除された鹿の革を使ったものづくりを通して野生動物との向き合い方や現在置かれている状況も学んできました。
柏崎夢の森公園
広大な森を含めたエリアを持っており、野遊びやクラフトのワークショップを開いたりしている体験型の施設。
SDGsという言葉ができるよりずっと前から持続可能な仕組みづくりをキーワードに活動されていたそう。
鹿の現状を知る
近年ニュースでも耳にする機会が増えた獣害、例えばシカやイノシシが農作物を食い荒らしたり、木の皮をはいで食べて森を荒らしたり。
今年は特に熊の事件も多く発生しており、亡くなる方、大怪我される方も多数発生していますね。
鹿などはもともと新潟にはあまりおらず、もっと南に分布していたのだそう。それがいくつかの原因によって生息域を増やしていて、新潟にも表れ、被害をもたらしているようです。
・温暖化による生息域の拡大
元々雪に弱い鹿が温暖化により雪の減少が進み、これまで生息の確認されていなかった高山エリアや新潟などの雪国のエリアにも進出してきたているそう。
・天敵がいなくなった
鹿の主な捕食者のオオカミが乱獲や駆除政策により絶滅した今、人間が狩らないと増え続ける一方に。生態系ピラミッドのてっぺんがいない状態のため、放っておいても自然にバランスの良い状態には戻らない。元を辿れば人間がこの生態系ピラミッドを壊した犯人でもあるのだが、、
・ハンターの高齢化
誰でも駆除できるわけではなく、銃やわな等で動物を捕獲するには狩猟免許という資格が必要。
免許保持者がもともと少ない中、なり手不足によりそのまま高齢化し、引退する方も増える。それによりハンター不足が年々深刻な状態に。
驚いたことにハンターの世界では50代でも若手と呼ばれるのだとか。
使い方を間違えると人の命を奪う凶器になってしまうため慎重なのは仕方ないことですが、「これからハンターを目指すぞ!」と思い立ってから試験や銃所持の審査、実技試験その他諸々に以上に時間を要し、およそ1年近くかかります。猟期と言って狩猟ができる期間も限られており、実際に狩に出るまでにはもっとかかることも。
・山村の過疎化、高齢化
田舎を中心に人口減少が加速していること。若い世代が少ない上に都会へ流出してしまい、ほぼ高齢者しかいない集落。
林業に従事される方も減り適切な管理をされずに放置されている山林。
「自然に還る」と言えば響きはいいが放置しても元には戻らない上、人間と動物の生息域を曖昧にしてしまい、悪影響となっている。
私見
熊が人的被害を引き起こし、ハンターが駆除すると
「殺すなんてとんでもない」「かわいそうだ」と地元でない人々から苦情が集まり対応に苦慮しているようです。
適正な個体数のバランスが崩れたことにより人里に食べ物を探しに出てくるという流れのため、狩猟による、人の手が入った個体数の調整は必要と考えています。かわいそうだとは言うものの、じゃあ引き取って飼育できるのかと言われればそうではありません。
山で餌付けすればと考えたとしても、それはもう野生動物ではなく、人間から餌をもらえると理解してさらに都市部などでの被害の加速にもつながります。
持続可能な状態で人間と動物の棲み分けを維持するにはまず人間側の理解と狩猟者の待遇や地位の向上が必要なのではと思います。
いただいた命を無駄にしない
野生動物を増やしすぎないためには動物の命をいただかなければいけない。しかし、撃っても全数がジビエ肉などとして出回るわけではなく、処理しきれず埋められて処分される個体も多いのだとか。
最近ジビエ料理というワードは耳にするが一般家庭に浸透しているわけでもない。なぜかと言うと野生動物のため供給が少ない上に安定せず、スーパーの精肉コーナーに並ぶこともないため。
肉を取るか、皮を取るかで解体の優先度や手順も変わるそうで、全部を無駄なく活用することが理想であるが、現実としてそうはいかないらしい。
でも、人間の都合で駆除され、さらに捨てられるはずだった革を利用して作品を作り、使うこと。これがサステナブルにつながる。
これを記事にして発信することで、一人でも多くの方に賛同をいただければ、遠回りではあるが獣害問題への支援の一助となるかもしれない。
今回材料としてご用意いただいた革も駆除された鹿の革を使っている。
作る
鹿革とバネ式の開閉金具を使った小物入れを作ることに。
メガネケースもあったが、裸眼で視力1.5あるため選ばなかった。
今後について
今回鹿革でのクラフトに初挑戦し魅力を理解できた。
これまで主に使ってきた牛革と異なる性格をしておりしっとり、ふんわり、柔らかく、滑らかといった形容詞が似合い、ペンケースなど普段使いするものは風合いも出て愛着も湧きやすい。
講師の方に入手先を教えていただけないか、と話をして帰ってきた。
もし取り扱うことができれば、この柔らかさを活かした作品づくりを通して微力ながらSDGsに参加したいなと思います。
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