ベニエ

見終わったあとに瞼に残像のように見たドラマや映画が浮かんでくる、そんな余韻の幸せを留め…

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見終わったあとに瞼に残像のように見たドラマや映画が浮かんでくる、そんな余韻の幸せを留めておきたいです。

最近の記事

「その年、私たちは」グローバル配信の韓国ドラマの新境地

■ドラマの紹介高校時代に、学年1位の秀才女子と、学年最下位のサボり男子がドキュメンタリーを撮されることになった。10年後にこのドキュメンタリー動画がバズり、世間では青春そのもの!と大人気になり、10年後の彼らが見たいというニーズに応えるように、再度2人は撮影されることになる。実は2人は当時、ドキュメンタリー撮影をきっかけに付き合い、破局から5年が経過していた。もう二度と会うことはないと辛い別れを経験した2人だったが、再会したことを機に、複雑な思いに揺れ動いていく。 ■暴力の

    • なぜ韓国ドラマ「サイコだけど大丈夫」では他のドラマより食事のシーンが重要な意味を持つのか考えてみる

      ■ドラマの紹介「サイコだけど大丈夫」は2020年6月に放送された韓国ドラマで、世界にはNetflixを通じて配信されました。 「愛を知らない人気童話作家と、精神病棟で献身的に働く男。辛い思いを抱えて生きる2人の運命が交錯する時、互いの心に癒やしをもたらす、新たな人生扉が開く。」 - Netflix 公式サイトよりあらすじを抜粋 主人公の女性は、親にまつわるトラウマによってパーソナリティ障害を抱え、主人公の男性は自閉症の兄を持ち、母親を亡くした喪失を抱えながら兄のCarer

      • なぜ映画「チャンシルさんは福が多いね」は、 お姉さんに抱きしめられたような気持ち になる映画なのか少しだけ考えてみる

        ■映画の紹介韓国では、フェミニズムを中心として女性たちの声や表現作品が熱い渦を巻いて続々と生まれていて、映画「チャンシルさんは福が多いね」もその最前線の作品として名前を連ねています。ただ、「フェミニズム」と聞いて、抑圧や葛藤の苦しさにまみれた映画だと想像するのは違うのです。 誤解さえ生む安易なイメージで伝えてしまうと、「かもめ食堂」みたいな、静かな映画ですと言ったら、「そういうあんまり何も起こらない映画は眠くなるし好きじゃない」という人は見ないのかもしれません。ただ...私は

        • なぜ「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」が希望を若者に託す物語なのかを考えてみる

           2018年、その年韓国でとても話題になった恋愛ドラマです。  Netflix配信で全話完走後、チョン・ヘインさん演じるジュニの魅力的な笑顔が何度も頭に浮かびながらも、心はものすごくもやもやとした気持ちで反芻していました。 このドラマを私なりの言葉でいうと「次の若い世代にすべての希望を託したドラマ」です。逆にいうと、「古い世代は、ごめんやっぱりできない。そっち(新しい若い世代)ならきっとできる。」というかんじ。 ■大人たちが抱える呪縛最初に見始めたときは、とっても素敵な年

        「その年、私たちは」グローバル配信の韓国ドラマの新境地

        • なぜ韓国ドラマ「サイコだけど大丈夫」では他のドラマより食事のシーンが重要な意味を持つのか考えてみる

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          なぜ「D.P.-脱走兵追跡兵」が海外評価が高いか考えてみる

           第一に、韓国=兵役のある国という認知とともにそのヴェールに包まれた実態についてフィクションを通じて描くというのは、知らないことを覗いてみたいという気持ちにさせるものです。「軍隊」から連想されるものは、世界中どの国においても、「権力勾配が凄まじいもの」「厳格な規律」「閉じた男性社会」「暴力」などが想像される場所でもあります。(女性の兵役がある国もありますが)圧倒的な理不尽がそこに待ち受けていること、そして主人公はそれに屈せずにもがいて戦ってくれる物語だろうという期待を持って、

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          なぜ「二十五、二十一」が1990年代が舞台の物語なのか少しだけ考えてみる

          2022年2月から韓国で放送され、Netflixでも毎週配信が開始された 韓国ドラマ「二十五、二十一」の第1話と第2話を見ました。 冒頭、コロナ禍と思われる時代にマスクを付けてバレエの発表会に出る少女と母親のシーンから始まりつつ、その少女が家出して祖母に会いにいき、母親の日記を発見していく展開となります。物語はこの母親が高校生の時代、1998年を舞台に描かれていきます。 この時点で、現代の少女、母親、祖母の3世代の女性の視点を持つドラマだということが分かりますが、舞台の中

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          なぜ「気象庁の人々」第1話で自分の期待値がまだ上がっていないのかを考えてみる

          先週(2022/2/12)からNetflixで配信され始めた韓国ドラマの「気象庁の人々」を30分見たところで、このドラマについて「職業」という視点で考えてみます。 1.「気象庁勤務」から考える 気候変動は世界中でホットなトピックなので、重要な職業であることは明らかでしょう。専門性が必要とされ、知的で冷静でないと出来ない仕事。 「気象予報」自体で考えると、予報が当たらないこと=不確実性 と向き合いながら、そのせめぎあいの中で進んでいかなければならない主人公像が考えられます。

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