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ただ単純に深刻になるのではなくて

佐々涼子 著
『エンド・オブ・ライフ』
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』

この2作を夢中になって読みました

いずれも「死」をテーマにした
ノンフィクション作品です



『エンド・オブ・ライフ』
余命を宣告され死を見つめ始めた人たち
その人の身近にいる人たち
それぞれの立場の人たちが何をどう考え
どんな行動をとり生きて行ったのか

最期の時を在宅で過ごす事を選んだ人
在宅で看取る決断をした家族
それを支える訪問医療の看護士やヘルパー

そんな訪問看護士だった男性の
癌発症からの生き様
それを〝取材者〟として〝友人〟として
見つめ続けた筆者


何度か涙で先が読めなくなりました

私自身胃癌を患い
いろいろな思いを抱きました
3人の子どもたちは小2と幼稚園児でした
私は実際のところ
私の死後の子どもたちの事は
考えたりしませんでした
私がいなくても子どもたちは育つ
心配してもしょうがないと…
手術で家を空ける2週間の事と
退院後の支払日の心配の方が大きかったです

後は淡々と日々しなければいけない事を
こなしていただけでした

ただ1度だけドキッとして死を意識したのは
全ての術前検査を終えた後に
主治医が院長に代わった時です
術後に聞きました
リンパまで広がっている可能性があった…と
結果としてそれがなかったため転移が無く
今こうして生きているという事でした

いずれにしても強がりではなく
あっけらかんとしていたのが
死を前にしていなかったからなのか
私自身の性格の問題だったのか
本当のところはわかりません
きっと人それぞれなんだと思います

著者が出会った人たちも
様々な考え方を持っていたようです
本当に人それぞれだと



『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』
この本の感想を語る自信がありません

他国で亡くなられた方のご遺体を
遺族の方々の元へと…………

すみません
適切な言葉が見つかりません

お連れする
運ぶ
移送する

どの言葉もピンときません

亡くなられた方と家族や友人の再会を
手助けする

亡くなられた方が亡くなられた事を
遺族が納得できるよう手助けする……



そんな仕事があるんですね
〝尊い仕事〟と一言では表せない仕事です


世間の事に疎い私なので知りませんでしたが

『第10回開高健ノンフィクション賞受賞作』

ですから
読まれた方もいると思います

ご一読おすすめです

『エンド・オブ・ライフ』より
「身体が変わったら、自分自身も変わってしまったんですよ」 その感じは私にも理解できる。身体が変われば、考え方も変わる。私たちは病をきっかけに、生き方が変わってしまった者同士だった。
「予後を気にして生きていたら、それだけの人生になってしまう。僕は僕自身であって、『がん患者』という名前の人間ではない。病気は僕の一部分でしかないのに、がんの治療にばかり目を向けていたら、がんのことばかりを気にする人生を送ることになってしまう。
闘うのではない。根治を願うのでもない。無視するのでもない。がんに感謝しながら、普段はがんを忘れ、日常生活という、僕の『人生』を生きていきたいんです」


好きなように生きた人に教えられることもあるのだ。もっと堂々と好きなように生きてもいいのかもしれない。どのみち、誰にも迷惑をかけずに生きることなど不可能なのだから。




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