君がいたから、生きようと思った〜二人の大学生時代から明美が産まれるまで〜

二人の出会いは必然だった。

 僕は君に一目惚れをした。
 大学二年生の春。
 僕は大学の図書館で君に恋をした。

 君はいつも読書をしていたね。
 僕はそんな君の顔をいつも離れたところから見ていた。
 声をかけようと思ったがいつも躊躇っていた。だって、君の顔があまりにも真剣だから。読書をしているときの君の顔が。
 でも、それはある時に変わった。僕は君に勇気を出して声をかけた。
 君はあの手紙で初めて会ったときのことを覚えていますかと言ったね。
 そんなの覚えてるに決まってるじゃないか。僕にとってあれは、忘れることのできない大切な思い出なんだから。
 僕は困っていた。授業のレポートに行き詰っていたのだ。どうしようかと悩んでいるときにあなたのことが頭に浮かんだ。いつも本を読んでいたあなたのことが。
 僕はあたりを見渡した。
 いた!
 彼女は今日も本を読んでいた。僕はどう声をかけようか考えていた。
「こんにちは。いつも本読んでるよね」は怖がられるかな。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」はいきなり馴れ馴れしいか。
どう声をかけるのがいいのだろう。こういう時あいつならどう声をかけるだろうか。
「そこの彼女。ちょっとお話しようよ」とかかな。僕には無理だけど……。
 どうしようか……。彼女の方を見ていたら、彼女と目が合った。僕は恥ずかしくて、目をそらした。
 どうして彼女が僕の方を……。

ここから先は

18,089字

本が繋いでくれる物語!この物語を読んだ人が1人でも本を好きになってもらいたいという想いで書きました!そして、家族の大切さ、亡くなってしまっ…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?