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オーケストラの音っていつも人に見える。

おはようございます。

昨日はオフィスでおやつを食べてるところを激写されてしまいました(#photo by 同期)。

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さて、今日は音楽の話を。

実は先日、とあるコンサートに行きました。

どうしてもどうしてもききたい曲があって、ちょっと打ち合わせの時間を変更してもらって、コンサートホールに走りました。

死ぬまでに絶対に生で聴きたいんだって思ってた曲。

『ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番』です。


クラシックをちゃんと聴くようになって、かなり初期に魅了された曲。

すごい迫力と力強さがあって、決して、華やか!って感じの曲ではないんですが、でも、この曲を聴いたとき、めちゃくちゃ「美しい」と思って。

というより、「こういう美しさがあるんだ」って、むしろ曲の方から教えてもらうような感じ。

最初のその衝撃がずーっと身体に残ってて、いつか絶対この音に生で浸りたいって思ってました。

でも、コンチェルトのコンサートってなかなか見つけられなくて。

ずーっと出会えてなかった中で、数日前にたまたまSNSでこの曲をやるコンサートが東京であるって見つけました。

夜中に見つけたんですが、予定もあまり確認せずにすぐ申し込んでしまって(笑)

ちょっと無茶しましたが、でも行けて本当によかったって思います。

今回の公演は、「タクティカートオーケストラ」という新しいオケの公演で。私も今回で初めて知ったのですが、若い世代のアーティストで、コンチェルトを中心としたコンサートを開催しているそうです。

演奏者の方の中には、同年代の方も多くて、すごく刺激になりました。

今回は、サクソフォン・バイオリン・ピアノの協奏曲でした。

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コンサートホールで音を聴く感覚っていつもすごく不思議で。

「聴いている」というより、その音の中に「入ってる」ような感じがするんです。

耳から情報を入れているというよりも、その音が作り出す「空気」に包まれる感じ。

素晴らしい演奏に出会った時は、日差しが降り注いだり、手のひらに湿度を感じたり、あたたかさを感じたり。

そんな風に、一曲の演奏の中で、その世界の中で呼吸して、旅して戻ってくる、みたいな感覚になります。

シベリウスのバイオリン協奏曲のはじめの一音も、フィンランドの芯まで冷えるような寒さを感じるようで。

思わず、息が白くなるよな、ツンドラみたいな景色が目に浮かびました。

そして、ラフマニノフのピアノ協奏曲も。

鐘が遠くから鳴るような最初の音で、会場がすんっと静まり返って。

何か特別なことがはじまるような、そういう予感と緊張感で一気に引き込まれました。

ふだんヘッドフォンで聴いているので、少し迫力が物足りないような感じもあったけれど、でもそれも含めてコンサートなのかな、目の前で音がゆいあげられていく感じを体感するのも醍醐味なのかなと思ったり。


オーケストラの音っていつも人に見える。

目の前で演奏を見ているともちろんそうなんですが、目をつぶってハーモニーに耳を傾けていると、たくさんの人が何かを訴えたり、手を取り合ったり、近づいたり離れたり。

そんな景色や感情が浮かぶような気がして、「ああ、人間だなあ」って思うんです。

特にコンチェルトは、一つの主要な楽器と、オーケストラがハーモニーを作っているので、「ある一人の人生と、その後ろにある、その人が生きた社会」みたいなのを感じる。

自分が、ソロの演奏よりも交響曲よりも、コンチェルトが好きなのは、そういう「誰かの人生を覗きながら、社会全体を見ていく」みたいなことが好きなのかもしれないな、と思いました。

作り込まれたファンタジーよりも、ドキュメンタリーとか好きなんですよね。

初めてピアノ協奏曲を生で聴いて、そんな風に、「見る」「聴く」「考える」っていろんな五感を行き来するのは楽しいなあとあらためて感じました。

本当に素晴らしい演奏でした。


帰り道、町がクリスマスみたいな顔をしはじめてたな。

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素敵な五感をいっぱい取り入れて、世界を紐解くような、人と人、人と自然をつなぐようなムジクスになりたい。


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