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唯一手を差し伸べてくれた先生


#忘れられない先生

僕が「忘れられない先生は?」
と聞かれたら、真っ先に答えるのが高校の英語教師『うっしー』だ。

僕は、制服を改造、着崩し等せず、遅刻も少なく、授業にもキチンと出る、表向き良い子だった。

成績は中の上。他の先生達は何も言わなかったが、うっしーだけは、
「聖は危なっかしくて、目が離せない。」
と言っていた。

正直、僕には意味が判らなかった。

今思えば、母親の猛毒に気付いていたのだろう。
他の教師が、だれひとり気付けなかった、僕の精神を蝕む毒物に。

ある日、僕は授業が始まっても、教室のベランダに居た。
前日に毒物に殴る、蹴る、口汚く罵倒され、しかも、その日は何時間もやられ、僕の精神状態はボロボロで、学校に逃げ込むだけで精一杯だった。

ベランダから校庭を見る僕に、
「聖、授業始まるよ。」
うっしーに呼ばれ、振り向いた僕の顔、僕の目を見て、うっしーは授業を自習にし、僕を保健室へ連れていった。

保健の先生とうっしーが、何を話していたのかは解らない。
僕は、ボンヤリ椅子に座って居た事は覚えている。
保健の先生に、
「いつ来ても良いからね。」
と、言われた事も。

うっしーに逃げ場を与えられ、僕は無事に卒業し進学出来た。

毒物の洗脳から、やっと解かれた今、
うっしーに手紙を書こうと思ってる。

覚えていてくれてると良いな。


                         おわり



































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