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障害を受け入れられない

以前の記事でも言及したが、僕はパニック障害、双極性障害、転換性障害を持っている。これらの障害を自己受容できないことに悩んでいる。


最初に発症したのはパニック障害である。その時僕は中学2年生だった。
なんのきっかけも無く突然目の前が真っ暗になり、吐き気と動悸がして、立っていられなくなる。それが頻繁に起こるようになった。
当時の僕は精神疾患について何も知らず、自分の気が狂ってしまったと思って全てに混乱していた。

そんな中、お世話になっていたスクールカウンセラーに「パニック障害という病気があるよ」と教えてもらい、心底安心した。タイトルに「障害を受け入れられない」と書いたが、このパニック障害についてはすぐに受け入れられた。自分の状態はこの病気のせいだと理解したので、むしろ情報を知って安心した。


次に、19歳頃から頻繁に抑うつや希死念慮を感じるようになり、大学附設の精神科で双極性障害と診断された。
これも普通に受け入れられた。症状があるしまあそんなもんだろうとしか思わなかった。何故すぐに自己受容ができたのかはわからないが、特に何も気にならなかった。

唯一少しつらかったのは、初めて抗精神病薬が処方されたことだった。抗精神病薬といえば統合失調症の治療に使われるものだと認識していたので、今後自分が変な妄想を抱いたり、幻覚を感じたり、果てには現実世界を認識できなくなるのかもしれないと思って怖かった。でも、少し調べたら抗精神病薬は統合失調症に限って使う薬ではないと知り、まあいいか、で終わった。


僕が受け入れられていないのは転換性障害である。
2022年の6月、突然歩けなくなり、しばらくしてから治った。臨床心理学を専攻していたので、まあこれは転換だなとすぐにわかった。
歩けなくなることは徐々に頻繁になってきた。毎月1週間くらい歩けなくなる。治療薬は今のところ無い。困った。

2023年2月、転居に伴い病院を変えることになった。そのため、主治医に紹介状を書いてもらった。そこでついていた病名は、パニック障害、双極性障害、そして転換性障害だった。

初めて見た「転換性障害」という診断書。この病名を突きつけられた時、悲しいというか、なんともいえないショックを感じた。

ああ、またひとつ病気を発症してしまった。もう新しく病気を背負うことなんて考えたことがなかった。どうして自分がこんなことになっているんだろうか。

転換性障害について、自分がそうであると受け入れられない。この記事を書いている今も歩けないんだが、そしてちゃんと受け止めないといけないのに、認められない。


もうひとつかなりショックだったものがある。
転居は都道府県を跨いだため、障害者手帳の新規発行が必要で、そのための書類を主治医に書いてもらった。

診断書には、現在有する症状を記載する欄がある。

抑うつ状態なのはわかる、双極性障害だし。衝動行為もわかる、リストカットが止められないから。強度の不安もわかる、パニック障害だし。解離・転換症状も、先ほど書いた通り転換性障害を発症してしまったのでまあ仕方ない。

ただし、1年前には無かった記載が入った。

幻覚。僕の場合は解離性幻聴。

ICD-10という国際的な診断分類では、転換性障害を一つの疾患とせず、「解離性[転換性]障害」としてまとめている。だから解離性幻聴が起こるのも特段おかしな話ではない。
この記載を目にした時、ショックだった。あまりにもショックだった。

幻聴というと、統合失調症の人が存在しない音を聞くことだと思っていた。今までは「存在しない人の声が聞こえたら、特に何か罵られたり命令されたりするのは怖いだろうな」程度のことしか考えていなかった。
そんな僕に突きつけられた、「幻覚」という記載。

確かに調子が悪い時はざわめく人の声や列車の車内アナウンスの音が聞こえることはある。だからこう判定されるのは別に間違っているわけではない。


あと、生活能力を記載する欄もある。

1年ほど前の僕は、大抵が「おおむねできるが援助が必要」「援助があればできる」だった。しかし、

「できない」という判定。もはや自分の力では生活ができないということ。主治医がそう判断した。


今、自分の「幻覚」と「できない」がどうしても受け入れられない。理由は言葉で説明できないが、とにかく自己受容できない。
本当はちゃんと受容すべきなんだと思う。でもいろいろ考える度に否定したくなる。

精神障害について、一番偏見を抱いているのは、僕なのかもしれない。

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