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教育相談

今回は教育現場における心理支援についての記事です。
基本的な考え方は『学校における支援』にも書いてあります。いくらか内容が重複するのですがご容赦ください。

学校現場で教育相談を担うのは、①スクールカウンセラー、②教員が行なう学校内教育相談、③教育委員会が管轄する相談所、④特別支援教育に関わる巡回相談の4つです。

1. スクールカウンセラー

学校で勤務して教育相談を専門に担当するのがスクールカウンセラーです。
大きく分けて5つの仕事をしています。

1つ目は相談面接です。児童生徒と保護者が対象です。
児童生徒については、本人が申込みをして自主的に来談することもありますが、教員に勧められて来談する場合も少なくありません。特に小中学生は自分の困り感を言葉であらわすことが上手くできず、悩みが行動化・身体化されて、周囲の大人が心配して相談が持ちかけられることもあります。
保護者については、問題を抱えた子どもについての相談が持ち込まれます。特に不登校の子どもにどう対応したらよいのかといった相談は多いです。子どもの理解を深め、接し方を考え、保護者自身が心の安定を得ることが主な目標です。

2つ目はコンサルテーションです。教員は児童生徒と毎日接しているので、さまざまな情報を持っています。成績や友人関係など、児童生徒と直接面談するだけでは得られない情報もあり、子どもを多面的に理解する上で役に立ちます。また、児童生徒との接し方に悩む教員を支援することもあります。

3つ目は広報活動です。児童生徒や保護者にとってスクールカウンセラーが身近な存在になるように、相談室便りを出す、校内をまわったり学校行事に参加したりする、相談室を開放するなどを行ないます。

4つ目は研修・講演です。教員や保護者を集めて、子どもの心理や抱えやすい問題について心理教育を行ないます。

5つ目は外部機関との連携です。虐待等の深刻な家庭の問題を抱えたケースでは、家庭への介入が可能な児童相談所などの協力を得ます。非行のケースは、警察、医療的なケアが可能な施設などと協働します。不登校のケースは、学校外のフリースクールや適応指導教室とも情報を交換して対応します。

文部科学省は『スクールカウンセラー等活用事業実施要領』というものを出しています。長くないので読んでみてほしいのですが、第1回公認心理師北海道追加試験で出題されたのは、被災した児童生徒の心のケアのためにスクールカウンセラーを緊急配置することになっている点、公立高校の配置については配置校の10%以内が目安になっている点、国は事業に補助金を出す点でした。


2. 学校内教育相談

学校内教育相談の目的は、すべての教員がすべての児童生徒を対象に、児童生徒の理解を深めて情緒の安定と学校生活の適応を図ることです。
すべての教員といいますが、特に児童生徒と関わるのは担任、生徒指導担当、養護教諭でしょう。

担任は、児童生徒の兄弟のような役割を持ちます。子どもと身近に関わっていて、継続的・計画的な支援が可能です。

生徒指導担当教員は、現実原則に即した親のような役割を持ちます。指導計画を立案し、児童生徒の環境調整を積極的に行ないます。

養護教諭は、なんでも話せる母親のような役割を持ちます。心身両面からケアを行ない、他の教員には話せないような話を聞いてあげます。担当教科を持たないので、成績評価などを気にせず関われるのがメリットです。


3. 教育委員会

教育委員会は、無料の公的相談機関を管轄しています。保護者や児童生徒からの相談、学校からの依頼を受けます。心理士が相談に応じるだけでなく、教職経験者も業務を行なっている施設が多いです。

大きな強みは、特に不登校などで学校の教員やスクールカウンセラーの下へ行けない児童生徒が来談しやすい場所であることです。学校と連携して、アセスメントやコンサルテーションが行なわれています。


4. 特別支援教育に関わる巡回相談

特別支援学校の教員は、特別支援学校でない学校に通う障害児に関する相談を受け付けています。これについては『特別支援教育』の記事を別個に書いたので、そちらを参照してください。


少し長くなりました、すみません。今回はここまでにします。

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