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目撃証言

2021年度から、公認心理師試験出題基準に「犯罪捜査場面における心理学」というテーマが追加されました。
その中の重要テーマである目撃証言の話をします。

事件や犯人の捜査に必要な、事件を目撃した人からの証言には、当然記憶が関わってきます。しかし人間の記憶というものは曖昧なもので、証言が確実に正しいものであるかは怪しくなってきます。特に高齢者になってくるとエピソード記憶が低下してくるので、詳細な事柄を忘れたり実際に無かったことをあったこととして捉えてしまったりすることがあります。
記憶については「高齢者の認知機能」の記事で概説しているのでそちらも合わせて読んでください。

目撃した事件に関する記憶は、それを覚えてから(記銘してから)想起するまでの間に入ってくる様々な情報の影響を受けます。これを事後情報効果といいます。結果、証言内容が現実と異なってしまうことがあります。このことはLoftusの実験などから明らかです。

また、目撃証言に与える要因には次のようなものもあります。
凶器注目効果は、事件で用いられた凶器に注目することによって、犯人の顔や背格好に意識が向かず、顔の識別が困難になることをいいます。
被誘導性は、聴取者の質問の仕方によって証言が変わってしまうことをいいます。これは特に子どもに顕著です。

目撃証言をできるだけ正確に聴取するために、認知面接というものが考案されています。Fisher&Geiselmanが考案しました。
目撃者に事件当時の状況を想像しながら語らせる文脈復元、目撃者が重要だと思っていないことでも全て報告するよう求める悉皆報告、時系列とは逆向きに最後の場面から報告するよう求める順序変更、犯人の視点に立って事件を描写させる視点変更といった技法が使われます。
これは一定の成果をあげていますが、面接の具体的な実施順序は確立されていないという限界点もあります。
そこで、改訂版認知面接も開発されています。ラポールの形成をしてから自由報告をさせ、次に聴取者が知りたいことを直接質問し、正確な情報が聴取できたかをもう一度確認し、最後に好印象を与えて何か思い出したことがあれば言うように教示します。この順序で行なうことで、目撃証言をより信頼性の高いものにすることができるといわれています。

以上、目撃証言についての話でした。過去問がほぼ無いので勉強しにくいですが、出題されても困らないように勉強しておきたいところです。
参考↓


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